表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/496

第61話 魔力ってむずっ

「思ったより、早く着いたかな」

「何をいう。お主がおしゃべりをもっと早く切り上げていれば、今より早く着いたであろう」

 2人きりのため、スヴァは心話を使うことなく、ストレートに文句を言う。

「そう言うなよ。コミュニケーションも大切だろう? そこから有益な情報も得られるだろうし」

「そうか。そういうものかもしれぬな」

 スヴァが焚火の前に座りながら、素直に頷く。

 今ティティたちがいるのは、ゴルデバから一番近いテフラ湖に来ている。

 そしてティティはせっせと枯れ木をくべている。

 森でたくさんとっておいた枯れ木を使って焚火をすれば、更に時間短縮、もう準備万端だ。

 後はティティの覚悟を決めるだけである。

 どうせやるなら、さっさとやったほうがいいだろう。

 その時にふと思った。

 今日はただ植物スライムを観察するだけでなく、魔力をぶつけなくてはいけない。魔力をぶつけるってどうやるのだ。

「なあ、スヴァ、今日は植物スライムがいるかだけでなく、攻撃してみて反応をみるってことだったよな? どうやるんだよ」

「昨日、言っただろう。まずは魔力をぶつけてみよ」

「だーかーらー。それがわかんねえって言ってんの! 私、山で身体に魔力を感じる事はできたけど、それっきりだからわかんねえよ。具体的に教えてくれよ」

「亜空間を自在に使ってるのに、できぬものか?」

「全然想像つかねえよ。亜空間を使うようになったのも、ここ数日前からなんだぞ」

 そんな魔法初心者にいきなり水中で魔力をぶつけてみろとは無茶ぶりである。

「初心者にわかるように説明してくれ!」

「わかった。魔力を身体に感じる方法は先に教えただろう。目を瞑って、へその下あたりに意識を集中してみろ」

「うん」

 ティティはスヴァの言われた通りに実行してみる。

「前と同じだ。違う力が2つあるぞ」

 もっと集中すれば、それらのうち白っぽい方は身体を巡っているのがわかる。黒い方はそれほど動いてないな。

「うむ。これからは毎日少しの時間、それら2つを意識して巡らせるよう練習をしておけ。練習を積めばおそらく魔法をスムーズに使えるようになるだろう」

「おお! そうなんか! ところでスヴァ、2つある力の黒っぽいのは魔力だってわかるけど、白っぽいのはなんだ?」

「知らぬ」

「スヴァも知らんのかよ!」

「知らぬが、予測は立つ」

「教えろよ」

「もう少し、観察してから話す。今追求する必要はない案件だ。今は植物スライムの件が先である」

 ちぇ。元魔王様は優先順位に拘りがあるようである。ここで駄々をこねても時間ばかりが食うだけだ。

「わかったよ。じゃ、魔力な」

 そうして、ティティはまたお腹に意識を集中する。

「黒っぽい力、魔力か、それはなんか腹の真ん中にぐるぐるしてるような感じがするぞ」

 そもそもこの魔力ってどこから湧くんだ? まあ、あるんだからいいけどよ。

「それを前にやったように体のすべてに巡らせてみよ」

「わかった」

 要は白っぽい力と同じようにすればいいんだろ。

 ティティは魔力を白い力に添わせるように巡らせていく。

 腹から心臓にまずは上がって、腕、手、また腕を通りわきの下を下り、脇腹、太もも、ふくらはぎ、足先まで行ったところで、また上昇させる。

 なんか変な感じだ。白と黒の力が交ることなく、身体を巡る。

「どうだ。気分は悪くないか」

「うん。全然大丈夫だ」

「よし。魔力を右手の平に持ってくるようにしてみろ」

「わかった」

 巡らせた力を右手に集中させる。

「むー。難しいな」

 巡らせるのは、白っぽい力に沿わせるだけでよかったけど、あるところに持って行くのが難しい。

「亜空間を使う時にやっただろう。それと同じようにすればよい」

「あん時は必死だったから」

 亜空間の場合はそこに入れ物があると想像すればよかったけど、魔力なんて感じるだけで、目に見えないしなあ。想像、想像をする。手に集中っと。

「魔力を操れるようになると、採集にも役立つぞ。美味なものがたくさんとれるようになるかもな」

「そ、そうなのか! 頑張る!」

 ティティは俄然やる気を出す。集中、集中だ。腹の力を手に持ってくる。つっても道がないから難しいよな。ん? 道? 確か、からだ中には血の道があるって聞いたことがあるぞ。

 そっか。さっき白っぽい力も血の道のような道を通ってるのかも。だとすると、魔力もさっき身体を巡らせたんだから、道が出来ている筈。その道を通るようなイメージをして、そして右手にどんどん魔力を送り込むイメージをすればいい。

「おお! なんか右手に集まってる気がする!」

 そうティティが叫んだ途端、右の手のひらに魔力がぽわんとでた。

 出たといっても、透明で視えるわけではない。ただ、確かにあると感じる。

「おお、できた?」

「上出来である」

 スヴァも頷いている。

「やった! できた!」

 まだ不安定だが、確かにこぶし大の魔力が出た。

「それを植物スライムがいたら、ぶつけてやればいい」

「わかった。あっ!」

 スヴァと話をしていると、魔力が霧散してしまった。

「練習が必要か」

「そうみたいだ」

 魔法士への道のり遠そうである。

魔力ってどんななのかあと想像してしまいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ