第493話 ティティ、隣国への出発を思う
短めです。
「はあ。今日も無事終了ってねえ」
商業ギルドで無事、商品の申請も終わり、デルコに別れの挨拶をして、カレドニア家に帰って来た。
もう必要なものもすべて買いそろえたので、明日、隣国に向けて出発する。
私はベッドに寝転がり、隣で眠るノアを見る。
安心したように眠っている。少し前までは私の姿が見えなくなっただけで、大騒ぎしていたノアだったが、国守さまに鍛えられ、たくましくなった。
隣国に行くと話しても、私と一緒ならと、全然不安な顔をしない。
そう言えば、親に会いたいと一言もノアの口から出ないなあ。
まあ、売られたんだから当然か。それでも、まだ4才である。
くそ親父はともかく、母は恋しいのではないだろうか。
<お主がその分一緒に居てやればいいのだ。そんなに心配せずとも、親がいずとも、子は育つ>
枕元に丸くなるスヴァが心話で告げる。
うーん、スヴァが言うと、重みが違うな。スヴァにも親はいたのだろうか。
<あまりにも遠い昔のことぞ。わからぬな>
本当にわからないのか。覚えていないのか。
「そっかあ。まあ、スヴァにも、私がいるからな。寂しくはないな」
私はそう言って、スヴァをぎゅっと抱きしめてやる。
<やめろ>
「なんだよ。相棒だろ」
<相棒だからとて、抱きつく謂れがあるか。それに騒いでおると、弟が起きてしまうぞ>
「やべ」
私は口をつぐむ。
<明日も早い。我らも眠ろう>
そうだな。こんなふかふかな布団で眠るのは当分ないだろうからな。
じっくりたっぷり、味わって眠ろうか。
1時間後、最終話を投稿します。




