第489話 ティティ、酒場のマスターに再挑戦す
リッシュの店を出てすぐ。
「ねえね、おなかすいた」
ノアがお腹をさすさすしながら、訴えて来た。
うん。私もそろそろお腹がすいて来たところである。
「随分と歩いたし、昼ご飯にしようか」
「あい!」
可愛らしいお返事! いいね!
さて、どこにしようと首をひねるが、それほど店を知ってる訳ではない。
となると、選択肢は少ない。私はカミオが紹介してくれた食堂に行きたいが、あそこは男性2人には居心地が悪いし。
うーん。ならば、冒険者ギルドに戻るか。
ギルド内にあるの酒場。確か昼間は食事もとれた筈。マスターのおすすめはうまかった。今また挑戦するのもよいだろう。
「ブライト、ライ、昼ご飯は冒険者ギルドでもいい? あそこのマスターのご飯、結構おいしいから」
先日は急遽ヒースを尋ねなきゃいけなかったから、寄れなかったんだよね。
「もちろん」
「ええ」
2人の快諾をもらって、私の心は決まった。
では、行こう! 冒険者ギルドへ!
そうしてやって来ました、冒険者ギルド。
今日は冒険者ギルドに用事はないから、まっすぐに酒場に向かう。
今は昼時。冒険者たちはまばらだ。それはそうだ。冒険者ならば今の時間帯、依頼をこなしている者が多いのだ。
座る席には困らない。
私たちはテーブル席ではなく、カウンター席に座った。
カウンター内には、見覚えのある、頭つるり、身体ムキムキの、がたいのいい男が1人。酒場のマスターである。
私は以前と同じ注文をする。
「マスター! マスターご自慢の、お腹に溜まる美味しいものを5皿ください! 1つは弟の分なので、小さめ! 1つはこの皿によそってください!」
私は鞄からスヴァ専用の皿を差し出す。
「ぬ! それは俺に対する挑戦か?!」
「どうとらえていただいても、かまいません」
ツンとお澄ましして答える私。マスターこのやりとり覚えているか?
「ふはははは! 久しぶりだな! 生き取ったか! 結構なことだ! 今日もうまいもの食わしてやるぞ! 待っとれ!」
「はい!」
マスター! 覚えててくれたんだ! 嬉しいな!
マスターを見送った後、カウンターに並んで座るブライトとライ、ノアに事後確認する。
「私が勝手に注文しちゃったけど、よかった?」
「ええ。的確な注文です」
「ねえね、ありがと!」
「構いません」
<うむ>
よかった。この注文法に間違いはない。ふっ。
そうして待つ事、数分。
「待たせたな!ほれ!」
そのかけ声とともに、私たちの前に、デンデンデンと置かれたのは中皿2つ。
1つにはとろりとしたタレがたっぷりとかかったおいしそうな分厚い肉。それと添えものとして芋をすりつぶしたものだろうものがのっている。
今ひとつはいさぎよい感じで、シンプルな塩むすびである。マスターわかってるね!
今日は大人の男2人もいるし、がっつり系でせめてきたか!
「ねえね! すごい、いいにおい!」
ノアも肉に目が釘付けである。
だよな! やっぱり肉は正義だ!
「俺が一晩にじっくり煮込んだ肉だ! 味わって食え!」
それだけ言い残して、マスターは去って行った。
昼時だ。私たちには構ってられないのだろう。
それでよしである。このご馳走の前に、会話は不要だ。
「ほら、スヴァも。肉切ってやるか?」
<不要である!>
スヴァの目がきらりと光る。
やはりがっといきたいか! わかるぞ! スヴァ!
私もナイフとフォークを持つ、そうして待っていたノアとともに、
「「いただきます!」」
と宣言して、肉へとナイフを突きつけた。
柔らかあ! うめええ!!
私たちはたっぷりとお肉とおむすびを堪能した。
ちなみにワイスには葉物をもらって、リュックで食べてもらった。
今日は起きてる時間が多い。回復してきたかな?
肉はガツンといきたい(笑)
いつもお読みいただきありがとうございます!
少しでもおもしろいっと思っていただけましたら、ブクマ、評価をどうかよろしくお願い致します。
励みになります~。




