表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女ティティルナ~転生と元魔王様とそれからTS?!~  作者: 天野建
隣国への旅立ち、ゴルデバ編
480/496

第478話 ティティ、冒険者ギルドで馴染みの職員と会う

「ギルドの馬屋に馬を預けてきます」

 ライはそう言って、建物の裏手に2頭の馬を引いて、歩いていった。

「我々は先に中へと入りましょう」

「そうだね」

 ノアは危ないので、ブライトが抱っこしている。

 小さいからね。その方が安全か。ニーネは私の腕に、スヴァは足下にワイスはノアのリュックの中である。

 冒険者ギルド。うむ。変わっていない。石造りのどっしりした4階建ての建物。

 そりゃそうだ。7年経っても変わっていなかったのだ。そうそう変わるもんでもない。

 その入り口もぴったりと閉まっている。

 ふふ。数ヶ月前には開けるのも苦労したこの観音開きの扉。

 今の私であれば、楽に開くはずである。大分体力はついたし、筋肉もついたからな。

 私は自信満々で、扉を開けようとした。

 が、ブライトがずいっと先に行き、片手でさっさと開けてしまった。

「ああっ!」

 私の数ヶ月の成長を見せる場を奪われた!

 私は驚愕に目を見開いて、ブライトを見た。

「な、なんです? ティティちゃん、その恨めしげな目は?」

 ブライトが少したじろいだように、首を後ろに引いた。

「いや、何でもありません」

 ふう。私、大人になれ。ブライトはよかれと思って扉を開けてくれたのだ。

 怒ってはいけない。

「なら、入りましょう」

「はい」

 私は少しの悔しさを滲ませながら、中へと入る。

 見慣れた風景。

 正面に受付カウンター。左側に依頼ボードと酒場兼休憩スペースがあり、その奥に二階に続く階段が見える。右側には買取カウンター。

 いかにも冒険者ギルドな配置である。

 ここは私が先に行く。私のほうがこの場は知ってるからである。

 私たちは正面にある受付カウンターに行く。

 そこには見知った顔が1人。

 茶色の髪。オレンジ色の瞳がキラキラしている。小柄な体、頭には大きな三角の耳。

「おはようございます! マージさん! お久しぶりです!」

 全開の笑顔で元気よく!である。笑顔はノープライス!

「あら! ティティちゃん、お帰りなさい! 帰って来ていたのですね」

「はい! たった今、こちらに到着しました。そしてマージさんに会いたくて、真っ先に冒険者ギルドに来ました!」

「あらあら。おだてても何もでないですよ? でもそう言ってもらえて嬉しいですね」

「本当です!」

 うそは言ってない! 私は可愛い猫さん獣人が大好きである。

「それはありがとうございます。それで今日は依頼を受けますか?」

「いえ。今日は挨拶だけです。少しの間、またお世話になります」

「しばらくではなく、少しの間なのですね?」

「私としてはしばらくゆっくりしたいところなのですが、難しそうです」

 そしてちらりと後ろを振り返ってブライトを見る。

「知り合いに挨拶をして、必要なものを買い足したら、隣国へと向かう予定です」

「隣国へ?! ティテイちゃん、国を出るのですか!?」

「はい。どういう訳か、そうなってしまいまして」

「まさか。1人でではないですよね?!」

「はい。幸い、頼もしい仲間が出来ましたので」

 そう言って、もう一度後ろを振り返る。

 そこにはブライトとノア、そしてライがいた。

「そうですか。せっかく久しぶりに会えたので、食事でも一緒にと思ったのですが、急ぎならば仕方ありませんね」

「私も残念です。イリオーネさんはいらっしゃらないのですね」

「奥にいらっしゃいますよ。呼んで来ましょうか?」

「いえ! それには及びません! どうかよろしく言っておいてください!」

 イリオーネさんには最初からお世話になっているのだが、どうも怒られるイメージがあるので、少し苦手である。姿はドンピシャで好きではあるのだが。

<お主が抜けているから、あの者もつい小言を言ってしまうのであろうよ>

 うっ。そう言われると返す言葉がない。

 イリオーネさんの指摘はいつも的確だった。

 今一瞬、ぞくりとした気がした。

 これは予感だ。これには従うべきである。

「私が居ない間のこととかお聞きしたかったのですが、お忙しいみたいですし、また来ます」

 急げ! ティティはくるりときびすを返した。

「あら、私に挨拶しないで帰るつもりかしら? ティティ?」

 ぎくりとして振り返ると、マージの後ろにイリオーネさんが立っていた。

「エルフは長い耳のせいかよく聞こえるらしいよ?」

 ブライトがそうこそりと教えてくれた。

 そういう事は早く言って欲しい! ブライトよ!

「ティティ? 私は今丁度手が空いたから、談話室で話をしましょう? じっくりとね?」

 イリオーネさんが私たちが通れるようにカウンターをあげた。

 ひいい!!

 何も悪いことはしてない筈なのに、なぜかたらりと汗がこめかみを伝う。

 イリオーネさん、美人のすごみは怖いから!!やめて!!


ティティ、ゴルデバの冒険者ギルドの職員さんと会えました。

いつもお読みいただきありがとうございます!

少しでもおもしろいっと思っていただけましたら、ブクマ、評価をどうかよろしくお願い致します。

励みになります~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ