第471話 ティティ、しんみりする
心話でスヴァと話をしながら、ティティたち一行は、てくてくと魔王領内、元来た道を戻る。
スヴァが先頭。
次に、肩にワイスを載せたノアが、簡易結界に入りつつ、ティティと並んで歩く。
しんがりがライだ。
行きと変わらない順だ。
そうそう、ライもすっごい遠慮していたが、半ば無理矢理に泉に入ってもらったが、目に見えての変化、御利益はなかった。
ちなみに、ノアもだ。
でもきっと、ありがたい御利益があるに違いない。
のちのちにじわりと影響が出てくる筈。
だって、国守さまが作った泉だもの。国守さまが、沐浴している泉だぞ!?
はっきりとは聞いてないけど、みそぎやらなにやら、つまりは疲れを癒やしに行く場所だろうから、きっとそう!
つまりは、すっげえ、御利益ありそう!
期待しちゃうよん。
<まあ、願望は、タダだな>
なんだよう。ちょっとは話にのってくれてもいいだろうがよう。
本当、ドライなんだから、うちの相棒は。
そうこうしているうちに、大型の魔物がいた広場を過ぎて、ニーネと分かれた場所まで、近づいた。
ちなみに、あの子たちのような、大型の魔物はいなかった。
そうそういたら、悲しみが膨らむから、ほっとしたよ。
と、ニーネのほうが先に気づいたのか、ものすご勢いで近づいてきた。
<わ~! あるじさまだ~! あるじさまが、もどってきてくれた~!>
目を細めて、嬉しそうにしている。
「おー! ニーネ、待たせたね!」
<いいの~。だって、あるじさま、もどってきてくれたもの~>
そうして、顔をティティに近づけて、頬ずりしてくる。
ニーネの頭がでかすぎて、後ろに倒れそうになる。
「ちょ! ニーネ! 手加減して!」
<あ~。ごめんなさい~。だって、すごくうれしかったんだもの>
そう謝りつつも、ニーネは悪びれた様子はない。
そこで、ふと思った。
そっか。ティティが、ジオルだった頃。
最後に別れた時と、状況が少し似てるか。
私が魔王城に行く時に、ニーネを置いて向かった。
ニーネだけでも、生き延びてほしかったからだ。
けれど、ニーネは戻らぬとわかっていても7年もの間、待ち続けたのだ。
戻らぬ主を。
今回は戻ると約束して、ちゃんと戻って来たけれども。
前回のことと重なって、余計に嬉しかったのかもしれない。
「うん。ちゃんと戻って来たよ。ニーネの元にね」
<あ~い>
このことで、少しでもニーネの心の傷が癒えるといいな。
<トラウマは、そんなに簡単に消えぬぞ>
なんだよ! きれいにまとめたのに!
スヴァ! 台無しだから!!
ホープトーチ編も、残り1話になりました。
どうか最後までよろしくお願いします!!




