第470話 ティティ、ホープトーチを出発する
「さてと、みんな支度はできたかな?」
ティティが念のため、確認の為声をかける。
「あい!」
<我が輩もよいぞ!>
「私も大丈夫です」
うん。ノア、ワイス、そしてライ。よいお返事である。
スヴァは無言だ。これはいつものことだな。
「よし! では! 出発しますか!」
ティティはそう号令をかけると、ホープトーチから足を踏み出した。
今は早朝。
結局、日が暮れての魔王領内での移動は危ないので、ホープトーチ内で、一夜を明かしたのある。
スヴァに言わせれば、ここらは、ホープトーチもあるし、比較的安全だとのことだったが、闇が深くなる夜の移動は避けたい。ノアもいるしと、安全策をとったのである。
なにより、ホープトーチ内には、魔物は入って来ないんだし、見張りもつけずに、眠れるんだから、わざわざ危険を冒すこともないよねえ。
そうして、一夜明けた翌日なのです。
さて、天の溶光を入手するという、我が命に関わる課題はー。
結論から言うと、無事に天の溶光を手に入れることができたと思う。
思うというのは、そもそも天の溶光について、話では聞いていたが、実物を見たことがなかった訳で。
だから、ホープトーチにある泉の水が、天の溶光のなのか、最終的には確信は持てなかったからだ。
それではなぜ、天の溶光を多分でもゲッドできたと思ったかだが。
それは、まあ、ティティの胸にある人魚の卵のカラから作った入れ物、フルを顕現させて、泉に身体を沈めたところ、泉の水がたまったからである。
そしてなぜか、泉には入っていない、スヴァのフルにもたまった。
たまったと言っても、ほんのちょっぴりであるが。
その量を見た時に、ティティは密かに絶望した。
この入れ物いっぱいに天の溶光をためなければならないならば、果てしなく時間がかかるのではないか。
それはティティの現状の寿命を、遙かに超えてしまうのではないかと。
<自身の仮説で不安になってどうする。御使いはこの容器をいっぱいに満たせとは言っていないし、それぞれの御使いによっては、天の溶光の量も増減があるかもしれぬぞ>
なるほど!
スヴァってするどいな。
それに精神が鋼だ。
半端ねえ!
<無駄に不安になっても、詮ないことだと知っておるからだ>
うむ。きっと魔王時代の色々な経験があるからであろう。
スヴァが一緒で、本当によかったあ。
<我を助けねば、今の状況にはなっておらんがな>
ちょっと、スヴァ。それは言わないお約束でしょ。
まあ、何度でも言うけど。私はスヴァを助けたことに後悔はないよ。
<ふん>
もう! 素直じゃないんだから!
私はそんなスヴァも好きだけどねっ!
ティティは、無事に天の溶光を手に入れました。
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