第468話 ティティ、もやの正体をみる
「ティティさん! 気をつけてください!」
ライが真っ先に叫び、ティティたちをかばいながら、泉から離れ、あたりを見回す。
「えっ?! なんかあるの?! って、わああ!」
部屋に充満していたもやが、一気に泉の中心に集まる。
それは渦を巻き、みるみる、球体になる。
そして、ぴかっと光った瞬間。
急上昇する!
「天井にぶつかる?!」
ティティが叫び、上を見た。
「ええっ!?」
すると、あったはずの天井が、消えている。
そして、塔のてっぺんまで、見通せるようになっていた。
「なんだあ?!」
刹那。
球体は、塔の頂にある光に向かって加速する!
次の瞬間。
球体は飲み込まれ、ホープトーチの光は、燦然と輝いた。
<あの球体は、気化していた天の溶光が凝縮したものだろう。先ほどのように定期的にホープトーチの明かりに燃料として、供給されているのだろう>
スヴァが、予測を呟く。
「ふえええ!! すごいなあ!!」
「きれいねえ!!」
隣でノアが見上げたまま、口をぱかり開ける。
もちろん、ティティもだ。
まぶしいけれど、新たな燃料を供給されたホープトーチの明かりは、とても美しく、尊く見える。
この光が、あの純粋な目をした魔物の子たちを屠るとしても。
「この泉、そしてあの球体は、塔の光の燃料なのですね」
ライも、横でホープトーチの明かりを見上げながら、呟く。
燃料って、天の溶光はありがたいものなんだけど、まさにその通りだ。
「そうみたいだねえ。このホープトーチの明かりが、消えない理由もわかったね」
光のエネルギー源。謎は解けた。
そう話しているうちに、じわりと天井が出現し、ホープトーチの明かりは見えなくなった。
必要な時だけ、天井が消える仕掛けかあ。
どうなってるのか?
「天井を含めて、この泉の仕組みは、どうなっているのでしょうか?」
あ、ライも同じこと思ったんだね。
「だねえ。今度は別の疑問がでたね。でも、その答えを知っても、どうにもならないし」
「そうですね。それこそ、人知を超えたところに答えがあるのしょう」
「だね」
<おぬしたちは探究心が足りぬ。それではよき研究者になれぬぞ>
スヴァが後方で不満の声を上げている。
いや、ならないよ!?
研究者、目指してないから!
誘導しないでね!?
<ふん>
なにそのおもしろくなさそうな顔は?!
自身の趣味に、私を、そしてライを、まきこまないように!
「うん。しかし今ので、この泉の水は、力がある水だってわかったね! この水が天の溶光だね!とっても貴重なものだと思ってたけど、結構いっぱいあるから、気兼ねなくもらっていけるね!」
天の溶光っていう仰々しい名前だから、超貴重かって思ったけど、そうでもないのかも。
そっか。超貴重だったら、私に分けてくれるはずないか。
<いや、十分貴重だと思うぞ。潤沢に湧き出てるのは、国守のみそぎのほかに、このホープトーチを保つ為に必要だからだろう。ないと困るからな>
ぐっ。スヴァが暗に匂わしてる。
ないと、困る。あのかわいそうな子たちを連れて行く為でもあるのかあ。
はあ。切ない。
ティティ、ちょっと負に引っ張られてるかもしれません。
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