第466話 ティティ、願望を抑える
短めです。
塔の最深部にあるアーチ型の大きな扉が、目の前にある。
真っ白なのっぺりした扉だ。
国守さまあ、もう少し、装飾してもいいと思うけど。
シンプル過ぎるでしょ。
<誰も見るものがいなければ、必要あるまい>
そうかもだけど!
階段があるんだから、きっと誰か来ることもあるんだよっ。
<そうかもしれぬな。人でも、魔物でもない何かか>
うーん。すっげえ、来訪するものが狭まったな。
<また目的がずれてるぞ。ここには何しに来たのだ? 塔を鑑賞しに来たわけではあるまい?>
は! そうだった!
ふう。惑わされところだったぜ。ありがとうな、スヴァ!
<まったく>
スヴァとそんなやりとりをしている間、ノアを下ろしたライが扉を念のため調べてくれている。
国守さまの癒やしの場だし、人間は来ない場所だから、何もないとは思うけどね。
ライは慎重なのだ。
<いや、普通だろ>
「問題ないかと思いますが、万が一があるといけませんので、私が扉を開けます」
一通り扉を調べ終わると、ライがそう告げる。
「うん。お願い」
ちょっと、私が開けてみたいけど、何かあった時に、対処できるか自信がない。
これは我慢して、ライに任せるべきだろう。
「ノア、あけてみたい」
手をつないでいる反対側の手を上げて、そう主張する。
おお! 好奇心を素直に言葉にできるのは、子供の特権だな。
今まで我慢が多かったノアにとっては、よい傾向だなっ。
でも。
「だめだよ? なかがどうなってるかわからないからね? ほら、罠とかね?」
つないだ手に少し力を入れつつ、ノアにそう諭す。
「う~。わかった」
よしよし、いい子だ。
とは言っても、それだからこそ、一番乗りしたいってのが、あるんだよなあ。
<お主の考えた通り、人が訪れる場ではないから、そんな仕掛けはないと思うがな。魔物はまず入れぬだろうしな。だが、小僧に任せるがよかろうよ。扉が重ければ、お主ら2人でかかっても、開かぬだろうからな>
そっか! そういう罠が、あったか!
<いや、罠ではない>
「では、開けます」
そう宣言しつつ、ライがゆっくりと扉を開ける。
さあ、中はどんなだ!!
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