第465話 ティティ、階段をぽくぽく降りる
「ほっほっほっ」
ティティは、ライが見つけてくれた階段を降りる。
<なんだ、その変なかけ声は>
スヴァが鼻にしわをよせる。
ちょっと、そんなに不快か!?
だってさ、この階段、ちょっと急勾配で、7歳の私の身体では、ちょっと、降りるの大変なのよ。だから、かけ声かけて転ばないようにしてるんだよ。建物に沿うように、ぐるりとらせん上になってるのも、ちょっくら、こわい。とは言っても、真ん中は円筒の筒状に壁になってるから、下に落ちる心配はないのだけど。
この円筒の中はどうなってるのかなあ。
円筒の壁には、入口はない。
人間は来ないんだから、部屋を作る必要はないか。
てことは、空洞で、吹き抜けになってるのかなあ。
でも一階?はちゃんと床があったから、吹き抜けはそこで行き止まりだよねえ。
ふむ。なぞな建物だわ。
「ほっほっほっ」
それにしてもいつまで続く、この階段。
ちなみに、私よりも小さいノアはライに抱っこされて、前を進んでいる。ワイスはノアのリュックの中だ。
その後ろに私、しんがりはスヴァだ。
そのスヴァといえば、危なげなく、階段を降りている。
うむ。獣の身体能力か。ちんまいくせに。
悔しくない。
<そういえば、そなたこのところ、短剣の訓練をしておらんな。ついでにいえば、魔力の訓練も>
ちっ! いやなことに気づいたな。
ほら、なんだ。このところ忙しかったし。ライも、ブライトも、いるしさ。
ほら、私が魔法士だって気づかれても、面倒が増えるだけでしょ?
<自分の身は、自分で守れねばならぬ。ましてや、おぬしは弟も守ってやらねばならぬのだから、訓練はしなければならぬだろう>
はい。正論いただきました。
わかりましたよ。
あー、訓練よりも、おいしいものを食べたい。
このところ自炊ばかりだからなあ。
はあ、せつない。
「ティティさん」
と、ふいにライに呼ばれた。
<着いたぞ>
おっ!
どうやら私が切なくなっている間に、階段の終着点、つまり一番下に着いたようだ。
一番下の床に降りると目の前に、
「丸っこい両開きの扉だあ」
私の身長よりも遙かに大きい、見上げるほどの大きな扉。
この先に私が求めたものがあるのか!
あるよね!
にしても、扉があってよかったああ!!
短めで中身が薄いので、本日はもう一話更新します。




