第464話 ティティ、階段を見つける
入口がなかったホープトーチ、どうしてかは不明だが、無事に中へは入れた。
いや、無事じゃない、私、痛かったもの。
<怪我がなかったのだから、よいではないか>
なんかスヴァ、私の扱い雑になって来てない?
後で、じっくり話をしようじゃないか。
こほん。
けどまずは、
「状況を確認しようか」
そう、それが第一だね。
ティティは、ノアと手をつなぎつつ、きょろりと、塔の中を見回す。
塔の直径は大人が大股で歩いて、50歩くらいか。見渡すかぎり床には何もない。白い床が広がっているのみだ。
しかし、塔なんだから、登ること前提で、普通、上に登るらせん階段とかついてない?
こういう建物の場合。
なーんもないよ。ただぼーんと、上にのびてるだけの塔。
<上に登る人間がいないのだ、必要ないだろう>
そっか。そもそもここは、人が踏み入れる場所として、想定されてないのか。
じゃあ、あの明かりは、どうやって管理してるのか。
見上た先、塔の頂には、なんの補助具もなく、白い球体の明かりが浮かんでいる。
あれが、外から見たホープトーチの明かりなのだろう。
思っていたよりも小さく、そしてそれほどまぶしくはない。けれど、あの光は、魔物を屠れるほどの強い光なのだ。
燃料はなんなんだろう? 聖素、神気?
そのほかにも何か含まれてるのかなあ。
<さてな。光を維持する為の装置があるのではないか? 我もここに入ったのは初めてだからな。わからぬ>
え、スヴァも、初めてなの?
<当たり前だ。無理してこのような不快になる場に入らぬ>
そっか。今でさえ、居心地悪いのに、魔王のままだったら、なおさらか。
用事もないのに、わざわざ入る必要もないものね。
「ティティさん」
呼ばれて、そちらを向けば、ライが何を見つけた様子。
ノアにワイスを回収させて、ライに近づく。
「なんかあった?」
「はい。ここを見てください」
ライが指さしたところを見ると、下に続く白い階段があった。
何もかも真白だから、気づかなかったよ。
<いや、余計な事を考えていて、探していなかっただろう>
いや、違うよ? 違わないか?
ごほん。
とにかく!
上に行く階段はないが、下に続く階段がある。
ちょっと不思議。
<必要があるからあるのだろう。それを考えても仕方あるまい。おぬしの望むものは、ここにない。そして上にもない。ならば、この下にあるのだろう>
そうだね!
ここにいてもしょうがない!
「降りてみよう!」
そして見つけるのだ!
私の延命のための天の溶光を!
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