第463話 ティティ、ころんと転がる
ホープトーチの壁が消えた!
ティティは反射的に、ととと、とおっと!と、なんとか転倒を回避しようと踏ん張ったが、願い叶わず、倒れこんでしまった。
「いったーい!」
なぜに? なぜにいきなり壁が消えた!?
その疑問と痛みに顔をしかめ、腕をさすりながら、ティティは起き上がった。
無防備に全身預けてたから、結構なダメージがある。
「ぐぬう。入れたからよしってするか? しないよ!」
痛いんだよ!
<何を1人で騒いでおる>
スヴァが、ティティがが倒れた時に開いたであろう、涼しい顔をして穴から入ってくる。
<うむ。聖力に反応して、入り口が開いたか? それとも、愛し子で認証許可が下りたのか?>
ちょっと! 分析してないで、少しは心配したらどうなの?!
薄情すぎるでしょ!?
「ティティさん!? 大丈夫ですか!?」
「ねえね?!」
ワイスを肩に載せたノアとライも、穴から入って来た。
そうそう、未知の塔に入ったんだから、こういった気遣いがほしい訳よ!
<これだけ聖素が満ちている場だ。危険もあるまい>
目に力を入れて視ると、確かに 聖素がきらきらしてるね。
って、スヴァは、聖素って視えないんじゃなかった?
<我には少し居心地が悪い。御使いの森と同じような空気感だ。 聖素もしくは神気が満ちているのだろう>
そっか。スヴァは居心地悪いのか。
もしかして、アーリデアルトの森でも、我慢させてたのかな? ごめんよ。
<ふん。我は元魔王ぞ。このくらいたいしたことはない>
なんかやせ我慢な気がするけど、突っ込むまい。
「転んでしまったんですね? 大丈夫ですか?」
スヴァと心話で、そんなやりとりをしてると、ライが心配そうに、手を差し伸べて来る。
そう! こういう気遣いだよ! スヴァ! 見習うように!
<ふん>
「ライ、ありがとう。大丈夫だよ」
ライの手を借りて、ティティは立ち上がる。
「ねえね!」
立ち上がったティティの胸に、ノアが飛び込んでくる。
「あれ?! ノア、結界は!?」
いつの間にかノアを囲っていた簡易結界が消えていた。
<うむ。ここは空気が澄んでおる。我が輩の結界は、無用だろう>
ワイスが塔の中を歩き出しながら、説明してくれる。
スヴァとおんなじ意見だね。
そして、もう散策ですか、ワイスさん。
もう、ワイスはフリーダムなんだから。
まあ、結界張ってもらったりしてたから、自由にしてよいけどね。
危険はなさそうだし。
「どうして、入れたのでしょうか」
ライが当然の質問をする。
うーん。ライには 聖素や聖力の話はしてないからなあ。
「うーん。私が愛し子だから? 塔がそれに反応したとかかも?」
スヴァが立てた仮説の一つを説明してみる。
「なるほど」
すぐに納得?!
ライ、もう少し私を疑ったほうがいいよ!?
<今はよかろうよ。そやつはまだ不安定だからな>
そうなの? 安定してるように見えるが。
<どうみても、おぬしの弟と同じようではないか。一生懸命、おぬしの後ろについてきている>
えー。
なにそれ。ひな鳥か?
少しかわいいけど。ライはひな鳥にしては大きすぎるな。
<話がずれてるぞ>
こほん。
いけない、いけない。まずは状況確認が先だね!
シリアスから少し抜けました。
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