第455話 ティティ、目を輝かす
「進めっや、進め~」
ティティは、手頃な枝を振り回しながら、歩く。
子供にとって、いい案配の枝って、大切だよね。うん。
それにしても、人が通ったことがない場所なのに、案外歩きやすい。
勾配がないせいかもしれない。プラス低木があまりないのも大きい。
まあ、私も、小さなノアも、山歩きには慣れてるのもあるね。
進む順番は、先頭スヴァ、その後ろに私、そして横には簡易結界に入ったままのノアとワイス、そしてしんがりはライだ。
簡易結界に入ったノア、最初歩けるのか?と思ったが、どういう仕組みか、普通に歩けている。
足の裏があたる部分は、どうなっているのか?
詳しく見てみたい。後でこっそりとワイスに聞いてみるか?
どちらにしろ、ワイス、ただものではない。
まあ、精霊なのだから、ただもんでないのは、間違いないか。
話がそれてしまった。
実は、この歩く順番だが、一悶着あった。
最初、ライが先頭を行くと言い張ったのだが、後ろを警戒してくれと説得した。
先頭もお尻もどちらも危険ではある。
が、やはり先頭を任せるなら、スヴァだろう。
この魔王領は、スヴァの庭のようなものだ。
彼に任せるのが一番である。
たとえ、今はちんまい姿になっていたとしてもだ。
<聞こえておるぞ>
後ろを振り向いて、スヴァがぎろりと睨む。
おっと、ごめん、ごめん。
もう、思考ダダ漏れだからなあ。
すぐに読まれてしまう。
けど、スヴァの思考はあんまわかんないんだよなあ。
魂がつながってるなら、おんなじ条件の筈なのに。不思議。
<我はちゃんと意識してブロックしてるからな>
なにそれ! ずるっ! 私もしたい!
<おぬしも訓練すれば、できるぞ。教えるか?>
え~、訓練が必要なのかあ。
じゃあ、いいや。
<おぬし、そのままだと、我にずっと気持ちを読まれ続けるのだぞ?>
別にいいよ。今までも、困ってないし。
なんか慣れちゃって、逆に口に出さなくて楽ってな感じ?
<まったく、おぬしは>
そんなじゃれつくようなやりとりをしていると、いきなり視界がひらけた。
「おわ?!」
思わず、声をあげてしまった。
深い鬱蒼とした森の中。
ホープトーチまで、ずっとこのような景色が続くのかと思いきや、まだ少し遠くにホープトーチが見える場所。先っちょだけでなく、結構下の方まで。ちらほら木はあるものの、まるで広い道のように開けている。
なぜに? 広場があるのだ? ここ、危険はないのか?
不安になったのは一瞬。
「おおっ!」
この場所、すっげえ、薬草、魔草が生えてるよ!
パワースポットなのか!?。
これは、採取していくしかないっしょ!
適当な長さの枝。いいですね。
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