第451話 ティティ、ニーネに乗る
「なるほどねえ。そういえば、国守さまも言ってたよねえ」
私は、いや、私とスヴァ、ライ、そして簡易結界に包まれたワイスとノアは、ニーネの背に乗せてもらい、ゆっくりとホープトーチを目指して進んでいる。
ゆっくりと言っても、私が走るよりは、はるかに速い。
巨大化したニーネは、勝手知ったる魔王領の森ってなカンジで、鼻歌を歌いそうな感じで、進んでいる。
<ニーネ、あるじさまのやくにたってるの~。うれしいの~>
くう。この子は主人を泣かせる台詞をさらっと言う。
「ニーネはいるだけいいんだよ。私の癒やしだからね」
<くふふ~。うれしい~。でも、あるじさまのためにできることあると、ニーネはすごいうれしいも~>
「ありがとう」
なにこの、かわいい生き物は。
<いや、巨大な魔物の蛇をかわいいと言えるそなたは、どうなのだ>
大きさなんて関係ないねっ!
「ニーネは優秀ですね。彼女が通るからか、下手な魔物は寄ってこない」
後ろに乗るライが、感心したよう言う。
「私は役立たずですね」
こら、そこ。1人で言って、1人でしょんぼりしない。
「役にたつとか、たたないとか、そんなの関係ないから」
まったく真面目なんだから。
それにしてもライの言うとおりだ。
魔王領に入ってしばらく経つのに、魔物が襲ってこない。
小さな魔物の姿さえ見ない。
木々だけは大きいけど。太古の森って雰囲気だ。
じめっとしてシダ植物が、たくさん生えてる感じ。
<ここはそういう場なのだ>
なにそれ。どういうこと?
<もう少し、行けばわかる>
それきり。待っても、スヴァは説明してくれない。
なんだよ。いつもより、口が重いなあ。
だけど、こんななら、人間もここに入れるのでは?
<魔素が濃いと言っただろう。普通の人間ならすぐさま身体の不調を訴えるぞ>
なら、騎士とか、魔法士なら?
<問題なかろうが、ここに入る意味がない。人間が倒せる魔物はここら辺にはいない。魔草もいいものは取れるだろうが、とば口あたりのものなら、ここでなくても、採取できるから、ここまで来るメリットはないだろうよ>
そっか。そういうもんか。
んっ。じゃあ、もうすこし行けば、レアな薬草、魔草が取れるってことか?!
<‥‥‥そうだな>
なに、その間は。
まあ、いい。むふふ。レアな薬草、魔草採取、すなわちお金ががっぽり。
より道してもいいよね
いいとも!
って、だけど、ニーネの餌は、ないってことか!?
うーん。中身が薄い気がします。
今日はもう一話更新します。




