第448話 ティティ、目が点になる
短めです。
「ノア!」
唐突に飛ばされた割には、トンと割と丁寧に下ろされた。
転移だ!と、実感することもない。
ほんと一瞬だった。
驚いて目をつむったら、あら不思議、もう風景が変わっていた。
遙か遠くを見回せば、うっすらと海が見れるかなって場所である。
国守さまが間違う筈がないので、ここは、魔王領の南端、それもホープトーチに近い場所であろう。
そうはわかっていても、ここどこって思ってしまう。
と、瞬間、答えが頭に浮かんだ。
この場所に特に名前はないそうだ。
なくても困らない場所。つまりは人が近づかない場所だからなのだ。
もう少し西に行くと魔王領に入れる、海が近い場所。
この情報はおそらく国守さまからだ。
すぐに答えくれるって優しい。
なくてもさほど困らない情報なのに。
国守さま、たまにこういう細やかな心遣いしてくれるよねえ。
と、国守さまの優しさに浸ってる場合じゃない!
まずは確認! ノアの居場所!
「ノア! どこだ!? お返事して!」
「あい!」
「ふへ?」
思わず、鼻から空気が漏れた。
だって元気よく返事がしたのは、すぐ隣からだったから。
<御使いがやることぞ。まとまって移すに決まっておるだろう>
スヴァが冷静に突っ込みを入れてくる。
いや、そうだけれども。
いきなり移動だったから、びっくりしたっていうか。
ともかく無事に移動できてよかった。
ほっと一安心したところで、ノアを見下ろし、目が点になった。
「ノア?」
なんでか、我が弟はワイスとともに、透明な球体の中に、入っていた。
「ノア?」
どうして? 何があった?
大きなシャボン玉に入って遊んでる場合じゃないのよ?!
短すぎるので、本日はもう一話更新します。




