表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
449/496

第447話 ティティ、飛ばされる

少し長めです。

 ううっ。

 いくら諭されても、心配が一段落しないよう。

 諦めきれずに、ノアにそろっとブライトと一緒に行ってくれないかと、打診してみたところ。

「やっ!!!!」

 バッサリと、拒否られてしまった。

 絶対一緒に行くからっていうオーラが出しまくりである。

 そのうえ。

 ワイスが。

「我が輩が一緒なのだ。それほど心配せずともよい」

 との後押しもあって、ノアはやっぱり一緒に行くことになってしまった。

 ワイス、なにその自信は。

「ワイスって精霊でしょ?! そんな魔素の濃いとこ行って大丈夫なの?!」

「確かに魔素に中てられ、弱るものもいるが、我が輩は大丈夫じゃ。この堅い殻があるからな。いざとなれば、身体を引っ込めればよいだけよ」

「その殻がみそみたいだけど、いや、いざとなって自分だけ殻にこもられても! ノアはどうするのよ!」

「大丈夫じゃ! ノアと一緒にこもれるからの」

「えっ。その殻にノアも入れるの?! 無理っしょ!」

「面倒なやつじゃの。魔王領に行ったら、わかるから我が輩を信用せよ! 我が輩は御使いさまに選ばれし者ぞ!」

「うっ! そうだよね」

 それを言われてしまうと、黙るしかない。

 かくてホープトーチに向かうメンバーは、ブライトを除くすべての者で確定してしまった。

<最初から決まっておる。ぐずぐず言ってるのはお主だけぞ>

 スヴァ、厳しい!

 皆に言われても、心配は尽きないけど、割り切らなきゃね。

 そんながっくりと肩を落としたティティの耳に、くすくすと笑う声が届いた。

 目を向けると、カリアが口に手を当てていた。

 ブライトとの打ち合わせは、終わったらしい。

「貴方は自分のことには頓着しないのに、弟のことになると心を砕くのね」

「姉弟ってそういうものじゃないですか?」

「さあ。私たちは貴方たちの言う、一人っ子が多いから」

 そっか。卵はきっと多く産み落とされるんだろうけど、そこから人魚として孵化するのは1人、多くて2人くらいなのかもしれない。

 となると、姉妹の情ってのは、わからないのも頷けるかな?

「でもまあ、私たちも人数が少ないから、仲間を大切にする気持ちはわかるわ」

「そうですよね。家族みたいなものですよね」

<だまされるな。人魚はいざとなったら、自分が最優先だ>

 それは人間も一緒では?

<いや、こやつらは自分が助かる為には、仲間も売るぞ>

「ええっ!?」

「あら、そこの黒いお方から、何か悪口を聞いたのかしら? その方のお話は話半分できいておいてくれてよくてよ?」

 ふふふと笑うカリア。

 うーん。なんかスヴァの言ったことは真実なのかも。

 でも、そういった場面にならなければ、きっと仲間を大事にするはず。

<おぬしは甘いの。人魚が仲間を大事にするのは種の保存、本能からだ。人魚らもまた神の意向が働いているからな>

 なるほど、人魚にも働きを求められるいると。

 実際に指示があるのか。はたまた、本能にすり込まれているのか。

 それは何かはわからないが。

 はあ。生きとし生けるものはみな役割があるのか。

<いや、人間には一部の者しか、ないのではないか?>

 なんですと?

<でなければ、これほど、この世界に害をまきちらす存在を許すはずもない>

 うう。返すことばもありません。

 さて、心配や未練は尽きないけれど。美人さんと離れるはいつでもつらいからね! 

 でも、そろそろ出発しなきゃね。

 挨拶はきちんとしておこう。

「カリア、短い間だったけど、会えてよかったよ!」

 ありきたりな言葉だけど、気持ちはてんこもりのせておく。

 だって、本当だから!

 美人さんに会うのは、至上の喜び!

「うふふ。心のこもった気持ちありがとう。ティティの純粋な気持ちが心地がいいわ」

 あー。そっか。きっと他人からの賛歌の言葉なんて、これだけの妖艶な美人さんだ、それこそたらふくきいてきただろう。けれど、それは下心ありありの男どものゲスな賞賛が多かったのかも。

 元男子としては、そわそわしちゃう。

 今の私は女子だからね! 下心はないよ!

 だから、きっとカリアもにこにこなんだね。

 これはちょこっと、スルー発動だね。

「そんなティティに、これをあげるわ」

 近づいてきたカリアの手には、いつの間にか小ぶりな袋が一つ。

 気になっていたんだけど、スルーしてたんだよね。

 てか、ここはまだ国守さまが連れてきた空間だ。どこから出した?

 カリアも空間魔法使えるのか?

 はっ! お礼! お礼! プレゼントもらったんだから、お礼言わないと!

「ありがとう! これは?」

 私が持つと、両腕で抱えるほどの大きさだ。

「ふふ。内緒。困った時にそれを開けてみて。きっと役立つから」

 内緒と言って、口に人差し指を当てたカリア、いろっぽーい。

 すげー、癒やされた。

「ティティも気をつけてね、特に、メ・ン・タ・ルに」

 なに、最後の一言!

「カリア、それって」

 と、訪ねようとした時、

「準備はできたようじゃの。待ちくたびれたぞ」

 との台詞とともに、沈黙していた国守さまが口を開いた。

 私がぐだぐだしてる間、待っててくれたんだなあ。

 優しい。

<いや、面倒だからと、我や小僧たちにまかせたのだろうよ>

 スヴァがずばっとっ辛口なことを言う。

 いや、そんな説明いらないから。

 優しい国守さまと思わせてくれよう。

「さて、さくっとお主らを送ったら、妾は森に帰る。我が愛し子よ。天の溶光を手に入れた後は、報告は不要。そのまま次の旅に向かうがよい。先にお主たちが話し合っていた通りにな」

 私とスヴァのやりとりも聞こえている筈なのに、国守さまはそれには触れずに、さくさくと進める。

 スヴァの読み通りか。でも、話が進まないもんね。私もスルーッと。 

「よいのですか?」

「うむ。己の為に、先へと進め」

 と言うことは、この国での新たな課題はないってことかな。よかった。

 私の命の綱の、天の溶光に集中していいってことか。

<ふん。本当にそうか、わからぬな>

 スヴァが、ぼそりと漏らす。

 ちょっと。国守さまの優しさにケチをつけないでよ。

 私はありがたく、気持ちを頂くよ。

「わかりました。ありがとうございます!」

 お礼、大事! そしてお礼はノープライスだ!

「では行くぞ」

「えっ! もうですか?」

「妾は忙しいのじゃ。ではな」

 その声とともに、ふっと身体が浮くのを感じた。

 あわわわわ! 国守さま急すぎです!

 ノア! ノアはどこ!

 きょろりと見渡せば、ブライトの驚いた顔が見える。

 それを最後に目の前が真っ白になった。

 うわあああ。

 心の準備くらいさせてよー!!

 ノア、ワイスは大丈夫かあ! ライは!! スヴァはまあ大丈夫だろうけど!!

はい。やっと、ホープトーチに向けて出発しました。

長かった(笑)

そして、いつもお読みいただき、ありがとうございますv

もし少しでも続きが読みたいっと思っていただけましたら、☆をぽちりとお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ