第444話 ティティ、更に探り、浮上する
ホープトーチは魔王領で魔素が濃い危険な場所にあるけれど、魔素中毒の心配はいらない場所だとは確認がとれたっと。またそこに行き着く道程でも、私たちは大丈夫だろうとスヴァに確認済みっと。
後は難易度だよ。
「魔王領かあ。つい先日そこから旅立って来たばかりだってのに、逆戻りかあ」
なんか、魔王領を堂々巡りしてるって感じか。
「いや、マクベス砦のあたりは、魔王領のとば口もとば口だから。堂々巡りじゃなくて、更に深みに行くって感じだから」
ブライトが突っ込みを入れる。
「そっかな。誤差でしょ」
「誤差で片付ける、ティティちゃんがすごい」
「はは」
魔王討伐に向かうんじゃないんだしさ。
一度超難易度高めのところに行ってるから、それほど深刻に受け止められないのかもなあ。
「とは言っても、魔王領だし、すごい危険な魔物がわんさかいると思うんだよねえ。それも奥に行けば行くほど」
ジオル時代、魔王城目指して進んだ、過去の魔王領進行を思い起こす。
私、生きて帰れるのか?
それまでこちらのやりとりを放って、いや、見守ってくれていた国守さまが口を開いた。
「心配はいらぬぞ。そちの従魔がいれば、問題なかろうて」
「スヴァですか?」
そっか。元魔王さまだもんな。
きっと、魔物がよけてくれるのか?
「違う。もう一匹のほうじゃ」
「え? ニーネですか?」
「うむ」
そっか。ニーネ、実際は大きいしなあ。強いのかも。
スヴァは魔王とは言っても元だし。今はちんまいし。王様のご威光はないのか?
「いたっ!」
スヴァなにすんだよ! いきなり足を噛むな!
<ふん!>
くそ! なんだよ!
「ほほほ」
みろ。国守さまに笑われちゃったぞ。
「7年魔王領で生き残っておったのだ。ホープトーチまでの道のりはそちの従魔がおれば問題ないだろう」
国守さまは、ニーネに顔を向けていたずらっぽく呟いた。
「食い応えのある獲物がたくさんいるぞ」
<わーい!>
ニーネが嬉しそうにうねうねする。
ニーネは食べるときは食べるからなあ。
「ただ、あそこのは、用心深い奴らが多いからの。見つけられればだがな」
「へえ。魔王領の魔物って言っても、色々なんですねえ。攻撃的なやつが多いのかと思った」
<むしろ魔王領にいるものの方が、おとなしいかもしれぬ。魔王領から出るやつは攻撃的なものがほとんどだがの>
スヴァが補足してくれる。
へえ。そうなんだ。
でも、7年前は結構、うじゃうじゃいたよ?
<それはそうであろう。我を倒しに来たものを阻む為だ>
うん。だね。愚問でした。
「うん。国守さまが大丈夫って太鼓判おしてくれたし。私がたどり着ける確率が高いってことだよね。やはりイージーモードだってことだね!」
スヴァの説明きいて、余計に大丈夫って感じたし。
「ティティちゃん、超ポジティブだね。人跡未踏の地に行くって言うのに」
ブライトが、顔を引きつらせる。
「ねえねなら、だいじょぶ!」
ノアが力強く、ティティの背中を押してくれる。
ありがとう、弟よ。
「私も微力ながら、協力いたします」
ライ、ありがとう。お願いするよ。
「うん! みんなで力を合わせれば、きっと大丈夫だよ。国守さまは超えられない試練は出さないはずだからさ」
ここでいつもなら、するどい突っ込みを入れてくるスヴァがだまりこんでいる。
なに、不安になるからだんまりはやめて。
なにかあるなら、ちゃんと言ってよ。
<御使いは御使いよ。神の意志か>
いや、全然わからないから!
謎な言葉吐くのやめてよ!
しかし、スヴァは黙して語らず。
たまに哲学者みたいになるんだから。
あ、もしかして、さっきの根に持ってるとか?
もう、子供なんだから。
「国守さま! 私がんばります!」
「ふふ。元気がでたようでなにより。その勢いで達成せよ」
もちろんだ。
いつまでも落ち込んでても仕方ないしね。
さて、行き先も決まったし、さくさく準備しましょう!
やっと次の目的地に出発しそうです。
するのか(笑)?
いつもお読みいただき、ありがとうございますv
もし少しでも続きが読みたいっと思っていただけましたら、☆をぽちりとお願いいたします!




