第43話 依頼はさくさく、でも安全第一で
今日は朝から投稿します
「んー」
時間が時間だけに依頼ボードの前は空いていた。
その為スヴァとじっくり見る事ができる。
そのスヴァだが、先程からやけに大人しい。
いつもなら心話でカミオとの会話で突っ込みの1つでも入りそうなものだったか。
足元にちょこりと座って俯いているスヴァに、心話で話しかける。
<おい。大丈夫か? すっげえ、静かだけど>
<ああ、いや。ちょっと気になることがあってな。宿に帰ったら話す>
<そうか?>
さっきのジャイアントラビットを狩ったご機嫌はどこへやら、何やら深刻そうである。
これは早めに依頼を見て、肉を焼いてもらって、話を聞いてやらねばなるまい。
ティティは視線を依頼ボードに移した。
「うーんと、私が受けられそうなものはと」
ティティは顔を思いっきり上へと向ける。
チビだとなかなかボードをみるのも大変である。
ありがたいのは、Fランクレベルの依頼は大概下の方に張り付けてある。
上の方は高ランクや討伐関係の依頼が多いのだ。
つまりは人気がないものは下の方になりやすいという訳だ。
そうはいっても、依頼ボードはくまなくチェックである。
どこに金のなる情報があるかわからないからである。
「あ、本当だ。カミオさんの言う通り、採集の依頼が4件残ってる!」
これも、薬草が不作の為、採集する手間と依頼料がミスマッチの為であろう。
ティティとしてはありがたい。今はお金が必要だし、ランクを上げる為に、こなせるものはこなして行きたい。
「それもどれも手持ちにある!」
ティティは4つの依頼書をとって、受付カウンターに向かった。
「こんばんは、マージさん。こちらの依頼をお願いします」
カミオは他の冒険者の対応中だった。残念。
「おっ! ティティちゃん、こんばんは! はいはい、ほっ? 4つも? 大丈夫かい?」
「はい! がんばります!」
実はもうすでに依頼の物は確保済みだから、余裕である。今出してもいいくらいである。
けれど、そんなほいほい達成すると、悪目立ちする恐れがある。亜空間に入れておけば、薬草は新鮮なままだし、少しおいてから提出する。お金が必要でも、安全が第一である。
「はは、いい返事だね。ではよろしく」
「はい」
と、そうだ。聞いとかなきゃならんことがあった。
「あの、1つお尋ねしていいですか?」
「うん。大丈夫だよ。何?」
「あの、石板が売ってるお店ありますか?」
「石板?」
「はい。私、この街不慣れなので、色々人に聞くときに便利かなって思って。ステラさんのところにありますか?」
「うーんどうかな? 確実においてあるのは、ベン文具店かな?」
「ベン文具店ですね」
「地図を書いてあげるよ。文具店は貴族街に近いところにあるんだ」
「貴族街近く」
うーんあんまし近づきたくない地域だ。
「あ、大丈夫だよ。ベンさんはお客様には丁寧だから」
それはよかった。なんてたってこちらはか弱い少女平民の少女だからな。買い物するのに、見下されたら、やはり気分が悪い。
「はい、かけたよ! どうぞ!」
「ありがとうございます!」
「他になにかあるかな?」
「いえ、お手間かけました」
「いいの! ティティちゃんは可愛いからね。優しくしたくなるんだよ」
ふふ。幼女効果だな。わかるぜ。ギルドの女子職員には親切にしてもらっているから、そのうち差し入れでもしなくてはならんだろう。
「では、今日はこの辺で失礼します」
「気を付けて帰るんだよう」
マージがにこやかに手を振ってくれる。
「スヴァ行くぞ!」
足元に控えていたスヴァに声をかけると、冒険者ギルドを後にした。
よし、後は屋台で一角兎を焼いてもらって、宿でゆっくりだ!




