第436話 ティティ、ブライトに誓約をせまる
「不老はないとは言ったけど、美白効果に伴って皺改善や滋養強壮剤、傷や病気の回復ポーションの材料にはなるものはあるわよ」
そうなんだよな。それだけでも、すごいよな。
「さっきカリアさんに聞いたんだけど、倉庫にあった中で、ものによっては、肉体の欠損などにきくポーションの素材にもなるらしいよ」
「おお! 人魚の素材は、レアな効能がありまくりますね。きっと高く、高く売れますよ!」
ブライトが復活したように、目を輝かせる。
なぜ、高くを2回言った。大事なとこだからか?
「でもね、気を付けないと、効能が効きすぎると死ぬわよ?」
「ほえ! マジっすか?」
なにそれ、こわい。
「なるほど。加減が大事なのですね」
ライアンが深く頷く。
ライアン、勉強家だからなあ。
知識と照らし合わせて、納得した感じか。
まあ、昔から、薬も過ぎれば毒にもなるって言うしねえ。
はあ。難しいもんだな。
「わかりました。そのあたりはこちらで調べて、商品にします。一旦、研究用にいくつかサンプルをもらってから、具体的な買取価格を決めたいと思いますがよいですか? 人魚関連の素材は、ほとんど出回らないものなので、どのくらいお支払いすればいいか、商会の会長とも相談しませんと」
「それでいいわ。ただし、私たちのことは最低限の人間にしかもらさないこと、そして商品を売る場合も慎重にしてほしいわね」
「心得ております」
おっと、ここで誓ってもらうか。
「ブライト、信用してない訳じゃないけど、人魚たちの命に係わることだからね。ここでまずブライトから誓って欲しい。人魚に危害を加えない事、人魚のことはブライト、お兄さん、会長以外には他言無用のこと、この3人以外に話す時は、そうだな、私の許可をとること、いい?」
「わかりました」
「カリアさんも、それでいいかな?」
「ええ」
「誓約書でも書きますか? もしくは、制約魔法つきの契約書を、用意しましょうか?」
誓約書は制限がないが、王国の法でも裁かれるものだ、制約魔法付き契約書はその名の通り破れば、その契約書に描かれている罰が下る、結構シビアな契約書である。
「いや、そこまで縛りたくないから、国守さま、アマノリア様の名にかけて、誓約してくればいいよ」
ブライトが立ち上がって、胸に手をあて、宣言する。
「私、ブライト=スローターは、御使いアマノリア様の名にかけて、ここに誓う。己が利益の為、人魚に危害を加えない、愛し子であるティティルナの許可なく、人魚の情報をもらさないことを」
そう言った途端、羊の鳴き声が部屋に響き、ブライトが呻いた。
あ、国守さま、聞いてくれてたんだね。
それよりだ。
「ブライト、どうしたの?」
胸、押さえてるけど。
「一瞬、全身がしびれが走ったので、ちょっと驚いて」
ブライトが、目を白黒しながら、答える。
「あー。僕のシープが来てたみたいだから、国守さまにバッチリ誓約は届いたよ」
どこにいるかわからないし、ゴールデンシープかシルバーシープは、わからないけど。
「ではあの鳴き声、この体のしびれは」
「んー。雷は国守さま、得意だからなあ」
豊穣もつかさどるからなあ、御使いさまは。稲妻は十八番なんだよね。
「ほら、国守さま、人魚びいきのとこあるからって言ったでしょ?」
「言ってませんよ!」
あれ、そうだっけ?
でも、やぶる訳ではないんだから、そんなに顔を青くしなくても、いいと思うよ?
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