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第427話 ティティ、かるっと思う

「ぎゃああああああ! は?」

 ティティの視界が一瞬で、切り替わった。

 ディッセントヒルの頂にいた筈なのに。

 なぜか今いるのは、湖か大きな池のほとり。

 脇にはスヴァ。

「は?」

 間抜けな声しかでない。

「まあまあ! すぐに状況を把握するかと思いましたのに、案外のろまですのね」

 そんな毒を吐きつつ、突然現れたのは、水色の髪をした美女。

「うわああああ! すっげえ別嬪さんだあ!」

 思わず、ぼうっと見とれてしまう。

 美人は正義。可愛いは正義。どんな状況でもそこは変わらないよっ!

 別嬪さんは、癒しだあ。

「ふふ。素直な子ね」

 その美女は長い髪を軽くかきあげ、嫣然と微笑む。

 うん。謙遜しないのも、またよしである。

「騙されるなよ。そうして人間の男を騙して、精を抜き取るのがこれらの十八番だ」

「あらら、おともは口が悪いのね」

 それでも余裕からか、ふふっと笑っている。

 美人さんは何をやっても絵になるな。ってか、スヴァは、もうこの美女の正体を見破っている?

「え? ええ?」

「まだ、わからぬのか。お主が探していたものの一部ぞ」

「と、いうことは」

「はーい! 私は人魚でーす!」

 かるっ。

「そして、ここが人魚の里でーす!」

 かるっ! かるーっ!

「あの、そんなにすぐに、ばらして大丈夫っすか?」

 逆にこちらが心配してしまう。

「大丈夫よう。国守さまから、お客様が来るかもって、聞いてたから」

「あ、そーいう」

 なるほど。ならば、問題ないのか?

 国守さまも根回ししてくれているなら、教えてくれてもよかったのでは?

「ただ、里に入れるかどうかは、私たちに任せるってことだったのよ」

「じゃあ、ここに招いてくれたってことは」

「うん。入れてもいいかなって思ったからかな?」

 それは嬉しいけれど。

「私たちだけですか?」

 全員はダメだったか

「んー。本当は貴女だけ呼びたかったんだけど、その子はセットだから、仕方なく2人を入れたのよ」

 2人って。スヴァの正体がばれてるのか?

「そういえば、スヴァ、普通にしゃべってるね」

 今気が付いた。

「今頃か」

 スヴァがやれやれと、首を振っている。

「仕方ないだろ! 突然別の場所に連れて来られたんだから!」

「これからはすぐに対処できるように、慣れることだ。でないと死ぬぞ?」

 なにそれ。恐い事言うの、やめて。

「てか、私、そんな危険なところに行くつもりないから!」

「楽観的なやつめ」

 いや、普通だから!

「ふふ。そろそろいいかしら?」

「あ、すいません」

 美人を待たせては、いけない。

「いいのよ。ようこそ、人魚の里へ」

「てか、お姉さん普通に足あるよね? どして?」

「それこそ、今更か」

 いや、そこを突っ込む前に、他で突っ込みどころが満載だったからね!?

 仕方ないよね?!

「うふふ。人間に擬態しないと、こちらが狩る前に、狩られてしまうからよ」

 シンプルかつ怖い回答だった。

 人魚こわっ!

いつもお読みいただき、ありがとうございますv

もし少しでも続きが読みたいっと思っていただけましたら、☆をぽちりとお願いいたします!

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