第422話 ティティ、悪い顔をする
さて、昼食を食べて、午後。
護石像の掃除からのー、スケッチも無事終了。
そして今日のもう一つの目的を頭に浮かべて、ティティはにんまりと笑う。
「ふふふ。地形は変わっていないんだから。あれもある筈」
稼げる予感、びしびしと感じるねっ。
<気持ち悪い顔だ>
スヴァがすかさず突っ込んでくる。
くくく。なんとでも言うがいい。ここまで来て、あれをとらないなんて、もったいないんだから。
スヴァに続き、ブライトもティティの顔つきに気づいたのだろう、こちらも突っ込んでくる。
「ティティちゃん、また何か変な事させるつもりなら、予め言ってよ?」
失礼な。私は無茶なことはしないぞ。いつも慎重だ。
しかし怒る私ではない。大人だからな。
「大丈夫です。今日もある貴重な素材を採取しますが、事前のお掃除は、ニーネに頼みますから」
<あるじさま~。よんだ~?>
にょろりと腕に絡んだニーネが、こちらに頭をむける。
「うんうん。もう少ししたら、ニーネに活躍してもらうからね」
<わかったのー>
よいお返事である。
「ブライトとライはその場所に着くまでの警護はお願いね」
「わかりました」
うん。2人ともいいお返事です。
ではもう少し森の奥まで行きましょうか。
そして着いたところは、ジオル時代に見覚えのある場所。
そう貴重な素材が取れる、<時忘れの葉>が取れる場所である。
時忘れの葉。これを入れたポーションを飲めば、時を忘れるほどに元気に精力的になれる滋養強壮剤である。ちなみに切れた時の反動が半端ないらしい。
けれど、その副作用があるにも関わらず、需要はとぎれることがない。
その為、その材料となる<時忘れの葉>はえらく高く売れるのだ。
が、問題は。
その<時忘れの葉>を取るにはそれを守護するように、大量にいるチュマッカマウスを倒さなくてはならない。
チュマッカハウス、このネズミ、疲れ知らずに素早く動き、退治するのが大変なのである。ネズミにしては大きめだが、食べても不味く、ろくな素材はとれないという、旨みがまったくないネズミなのである。<時忘れの葉>を食べる訳でもないのに、なぜか葉に手を出すと襲ってくる厄介な魔物なのである。
ふふ。だが、私には従魔のニーネがいる。
蛇の魔物であるニーネは、ネズミが大好きと来たもんだ。
「さあ、ニーネ頼むねえ」
にまにまと笑みを浮かべつつ、ニーネを地面に放す。
<あるじさま~。少しおおきくなってもいい?>
「うん。大丈夫だよ。ここら辺に私たち以外いないからね~」
<りょーかーい>
返事とともに、5メトルほどの大きさになると、するりするりと地面を移動していく。
さあ、たんと好物を食べ散らかすといい!
遠慮はいらんぞ!
そして待つことしばし。
あちこちでチュマッカマウスの悲鳴が響く。
うん。順調にニーネのご飯タイムは、進んでいるようである。
<あるじさま~。おわったよう>
そうして戻ってきたニーネのお腹はめずらしく、ぷっくりと大きく膨れていた。
「どんだけ食べたの、ニーネ?」
いや、こちらもたらふく食べろとは言ったけどさ。
ニーネにとってはチュマッカマウスは美味なのだろうか?
人間にはゲロまずなんだけどなあ。
気になるところである。
ニーネ大満足w
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