第420話 ティティ、芋を手に入れる
「って! ビリビリ芋ですか! それは先に言っておいて欲しかったですよ~!」
ブライトがノアを小脇に抱えながら、走る。走る。
「だって言ったら、とめられるかと思って~!」
その横を収穫した黄色い長細い芋を抱えて、ティティが走る。走る~。
「ふん!」
その更に横を走っていたライアンが、追いかけてきたライジングモンキーを切って捨てる。
「おおっ! すごい!」
ライジングモンキー、小型のサルで、かなりすばしっこい。ビリビリ芋を好んで食べる為か、彼らの大好物のビリビリ芋をとる輩、つまり我々に雷撃を食らわせてくる。
ビリビリ芋を取る時には、ライジングモンキーに襲われるのを覚悟で臨まなければならない。
<あるじさまー。このおさる、まるのみしてもいー?>
<だめ! ライジングモンキーも素材として高く売れるからっ! 2人に任せて!>
<え~。このこたち、ぴりぴりしておいしーのに~>
ニーネがティティたちに遅れず、するするとついてくる。
うむ。最終的にだめだったら、ニーネに頼もう。
「ライ! あと3匹! いける? なるべる傷少な目で!」
「ティティちゃん、がめつすぎるでしょ!」
え~。そうかなあ。
ライなら大丈夫しょ!
「わかりました!」
その返事とともに、ライアンがざっと立ち止まり、追いかけてきたライジングモンキーと対峙した。
「がんばれ~」
もちろん、私の足はとめない。
私の任務は、ビリビリ芋の確保である。
五分後。
無事に10匹のライジングモンキーも討伐は終了。
その素材もゲッドした。
<お主、ドライすぎるだろ>
え~。ライの腕を信じてるからだよ?
「しばらくは追加のライジングモンキーはきっと来ないだろうから、もう少しビリビリ芋さがしても大丈夫かなあ」
「ダメです!」
ティティのささやかな願いはブライトにばっさり却下された。
なんでだよ~。
ブライトなら賛成してくれると思ったのにさ。
まあ、欲を出すと、ろくなことがないというからな。
ここは大人しく引き下がろう。
それにそろそろ今夜の野宿する場所に移動しないと、美味しい夕食を食べられないからな。
「ノア、よく頑張りました。今日のお仕事は、もうおしまいだよ。今夜お泊りする場所に移動しようか。美味しい夕食を作ってあげるからね」
「あい!」
ブライトに小脇に抱えられたまま、ノアは元気よくお返事をする。
よきよき。
そんなやりとりをしているうちに、道に出た。
ニーネはかなり残念そうだけど、ライジングモンキーを全滅させても、問題が出そうだからね。今回は我慢してもらおう。
「ニーネ、また美味しいものが出て来るから、今回はごめんね」
<わかったー>
ニーネは素直に縮小して、腕に絡みつく。
「さ、じゃ、進もうか」
ノアをブライトに預けて、自分もスヴァとともに、ライアンの馬に乗せてもらう。
ワイスは引き続き、リュックの中。
「ねえね。きょうのゆうごはんは、いまとってきたおいも?」
ぽかぽかと移動中、ノアが聞いて来る。
「違うよ。おいもはお薬の材料だよ。素人がそのまま料理して食べると、身体が一晩中びりびりして寝られなくなっちゃうからね」
「ひゃあ。それはだめ」
そうなのだ。間違って食べてしまうとそうなる。
対処方法としては、首だけだして身体を土の中に埋めて、効力が切れるのを待つ。
「このお芋じゃないけど、美味しいお芋、ねえねは持ってるから、今日はそれを食べようね」
「ん!」
よしよし。さて、お芋を使った料理何を作ろうかね。
ちなみに男二人は焼く煮るくらいしかできないので、料理は私が受け持つことになっている。
まあ、私も似たようなものだけどね。
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