第41話 門番はハンク、ラッキー
「よしよし、到着っと」
まだ日のあるうちに街に帰ってこれた。
城門には閉まる前に街に入ろうとする列がある。
その一番後ろに付きながら、これからの予定を考える。
「まずはギルドに行って依頼終了の手続きをして、それから兎の肉を焼いてもらい、宿に帰宅。その後は宿に帰って兎の肉で祝杯を挙げてから、力尽きてなければ収納袋を作り、今日採集したものを整理と。盛りだくさんだな、おい」
やる事が多すぎて、1人突っ込みをしてしまう。
「兎の肉を焼いてくれるとこ、すぐに見つかるかなあ」
チビな幼女だと、夜歩きは危険。その為行動時間が限られるのが痛い。
それでも安全には代えられない。
スヴァも強いといっても、まだ体が小さい子供である。
魔法は使わせたくない。また魔王に選ばれるなんてしゃれにならない。
自分が強い魔物をテイムできれば、手っ取り早いが、このなりじゃ、強い魔物を説得するのは難しい。
「仕方ない。気長にやるしかないか」
そんな事を考えていると、列が進み、やっとティティの番になる。
入門チェックしているのは、見知った顔の男だった。
「ハンクさん!」
ラッキー! 肉を焼いてくれるところを聞こう!
「ティティか。街の外に出てたんだな」
「はい! 朝一で森へ飛び出しました!」
「そうかそうか。で、成果はあったのか?」
「はい! ばっちりです!」
「バッチリか! よかったな!」
ハンクはそう言って、くしゃりとティティの頭を撫でてくれる。
少し乱暴だが、その手が心地よい。
思わずティティは目を細めた。
と、いけない。和んでいる場合ではない。
聞く事聞かないと。
「ハンクさん、ちょっと聞きたいんですが、いいですか?」
ハンクに冒険者ギルドカードを見せつつ、尋ねる。
「おう。構わないぞ!」
そうは言っても、急いで聞かないと、仕事の邪魔をしてしまう。
「あの、今日スヴァが一角兎を狩ったんです。どこか焼いてくれるところないですか?」
ジャイアントラビットの事は伏せておこう。このリュックに入る大きさじゃないからな。
「スヴァ?」
「この子です」
足元にいるスヴァを差す。
心持ち胸を張っているスヴァがいる。
「おおこいつか! そうか。こんなチビ助がな。えらいな」
ハンクに褒められて、もっと胸を張るスヴァ。あんがい単純なのかもしれない。
「そうだな。ピースの屋台だったら、焼いてくれるかな。その代わり、手数料取られるぞ。が、持ち込み以外で売ってるやつを買えば、手数料は安くなるな」
「ありがとうございます!」
「場所は、下町の広場にある屋台の1つだが、説明しにくいな」
わかる。屋台がずらりと並んでるもんね。
「大丈夫です。広場に行ったら、聞いて探します」
「そうか。なら、ピースには俺からの紹介だって言ってくれ。おまけしてくれるぞ」
「やった。じゃあ、そこで明日の朝食を買うことにします!」
「おう! 味はいいから、ひいきにしてやってくれ」
「わかりました! 教えてくれてありがとうございます! じゃあ、また!」
「気を付けてな」
ティティはハンクに小さく手を振って、街へと入った。
「さて、まずは冒険者ギルドに行ってから、ピースさんの屋台探そう」
ティティは急ぎ足で、冒険者ギルドに向かった。
昼食抜きはきつい。早く肉が食いたい!
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