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第406話 ティティ、つつき回される

 ほどなく着いたところは、今いる広―い空間の壁際だ。

 くいっと壁の上部を差すように、シルバーシープの顔が動く。

 それにつられてティティが見上げると、そこには黄金に輝く石が。

「ほえええええ!! きれー!」

 透き通って、きらきらしてる。

 あんなにでっかくて綺麗だったら、ここに落ちて来た時に気づいても良さそうであるが、気づいたのは、今だ。

 隠されていたのか。見ようとしないと見れないものか。

 不思議空間のなせる術なのか。

 口を開けて見上げていると、シルバーシープがお尻を一押し。

 ほら、さっさと採ってきなさいな。

 と言うように、更に鼻でぐいぐいと押す。

「わかったよ。でも結構高いところにあるし、登れるかなあ」

 と、少し不安を漏らすと、シルバーシープがくいっと首を横に向けた。

 それにつられてその先を見ると、壁には昇りやすいように溝が出来ていた。

「えっ! こんなん、さっきまでなかったよね」

 知らないわ! それより早くしなさいっ!

 と言うように、シルバーシープが前足で地面を強くかいた。

「わかりました! 取ってきます!」

 これ以上ぐずぐずしていると、またお尻に頭突きをくらいそうだ。

 シルバーシープが、ふんと息を吐いた。

 まるでわかればいいのよ! さっさとしなさいなっと言っているようだ。

 あくまですべてティティのアテレコだが、だいたい合ってるだろう。

 ここは国守さまのお膝元。

 なんでもありだし、言う通りにしないとね。

「よっしゃ!」

 ティテイは気合を入れて、壁を登り始めた。

 壁は地面と違ってある程度固さがあり、足や手をおく溝が、ちょうどティティの身長に合わせたような位置にあるから、思ったほど登りにくくない。

 むしろ登りやすく、なんなく石が嵌っている壁まで来た。

「よっと」

 しっかり握って少し力を入れると、黄金色の石はすぽっと取れた。

 なんなく石をゲッドである。

 これなら、ティティにわざわざ登らせて、取らせなくてもいいような気がする。

「直接手で渡してくれたら、楽なんだけどなあ」

 ついぼそりと呟いてしまう。

 と、下から鋭いシルバーシープのひと鳴きが。

 まるで聞こえてるわよ! というように。

「すいません!」

 ティティは首をすくめると、亜空間に石をしまって、ゆっくりと慎重に下り始めた。

 あのふわふわ苔のうえなら、落ちても怪我をしないかもだけど、外敵もいないんだから、気を付けて下りればいいだけだ。

 えっちらおっちら。それでも慎重に、下りる。

「ふう」

 地面に降り立つと、掻いてもいない汗を拭う。

 そんなティティの背中を、またシルバーシープがつつく。

「な、なに? 任務は完了したよ」

 何を言ってるの。まだよ。ほらっ。さっさと次、行くわよ!

 シルバーシープが、ティティの横腹を突いて促す。

「わ、わかった。やります! やりますから! もう! 幼児使いが荒いんだから」

 何か言ったかしら?

 と言うように、シルバーシープが、アンニュイな目でティティを見る。

「なんでもありませーん」

 そんなやりとりをしながら、取れた宝石は全部で4つ。

 金と銀と、緑と、青。それも両手で持たないとならないくらいに大きく、結構重い。

 シルバーシープは4つティティが取り終えると、満足そうに一声鳴いた。

「それで、これをどうしろというの?」

 シルバーシープに聞くと、胸に頭突きをされた。

「ごふっ!」

 自分で考えなさい!

 人に頼るんじゃありません。

「なんだよ。少し人に頼ることを覚えろと言われたり、頼るなって言われたり、納得いかん!」

 そう文句を言っても、シルバーシープはどこ吹く風だ。

「普通にうっぱらったら、良い金になりそうだけど」

 瞬間、シルバーシープの眦が上がった。

「うそです! 貴重な宝石をむやみにうっぱらたりしませんて!」

 シルバーシープが、前足でかりっと地面をかいた。

「ひい! ごめんなさい!」

 シルバーシープ、冗談通じないとこあるから!

「はあ。ゆっくりと考えよう」

 でも、このタイミングで、宝石を渡してくれたのは、これから向かう人魚の里に関係ある石なのか。それともないのか。それも含め、課題なのかなあ。

 なんか単に、ついでだから持って行きな。旅の駄賃にしなってのが、正解のような気がする。

ティティ、つつかれまくりの回でしたw

いつもお読みいただきありがとうございます!

少しでもおもしろいっと思っていただけましたら、ブクマ、評価をどうかよろしくお願い致します。

励みになります~。

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