表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
396/496

第394話 ティティ、東の友と別れる

 翌早朝。

 ティティたちは急ぐ旅でもないので、ここでもう一泊して行くとの建前の元に、のんびり起きてもよかったのではあるが、ルミエールたち視察団は、ここに留まる理由もないので、東の領に向けて、早々に出発するので、それに合わせて早起きをした。

 眠いよう。

<別れの儀ぞ。しゃきっとせよ>

 眠い目をこすっていたら、スヴァから活が入った。

<わかってるよ。また会えるとしても、けじめだからな>

<うむ>

 スヴァ、頭張ってたからか、そういうところは厳しいよね。

 ブリアは先に支度を終えて、朝食を食べている。

 ノアの支度も手伝いつつ、ティティは一階へと降りる。

 ルミエール、ヒース、ブリアはもう朝食を終えて、お茶をしていた。

 そこにノアの手を引きつつ、近づいて行く。

「ルミエール様、大変お世話になりました。ブルコワ様にはよろしくお伝えください」

 お礼は大切である。況してや言葉はタダなので、なおさらだ。存分にしなくてはならない。

「そう思うのなら、御使い様の課題が終わったら、直接自分で言いにきなさい」

 相変わらずなルミエール節である。

 最後まで変わらずである。

「かしこまりました」

 カチンとくるが、行こうと思ってるから、ここは素直に頷いておく。

「ティティ、気を付けてね。そして本当にありがとう」

 ブリアがティティを抱きしめながら、小声で呟く。

 きっと聖力循環のことだろう。

「はい。頑張ってください!」

 ティティができるのは、ここまでだ。

 後はどのように応用し、それをものにしていくか。

 それはヒースやブリアを含めた、魔法士たちにかかっている。

「ノアもお姉ちゃんの言う事をよく聞いて元気でね」

「うん!」

 ノアはよく寝たからか、元気いっぱいだ。

 ワイスはノアの背中のリュックの中でまだ寝こけている。

 ちなみにスヴァは足元に、ニーネは腕に巻きついている。

 うん、皆定位置だねっ。

 ライアンとブライトは一歩下がって、後ろに控えている。

 私たちが部屋を出たタイミングで、廊下に出てきたよ。

 気配察知スキル持ちかと思ったよ。

 その2人は特に感慨もないようで、挨拶もあっさりだったね。

「小さなレディ! とうとうお別れの時が来てしまった! ああ、なんという悲しみか! しかしこの別れは再び会う為の、喜びの前の一時期の悲しみ! 私はのちの喜びを楽しみに耐え忍ぼう!」

 うんうん。ヒースも安定のヒース節だね。

「ヒースさん、本当にお世話になりました! そして何より一緒に旅が出来て、楽しかったです! ご家族の皆さまにもくれぐれもよろしくです!」

 ヒースがいるだけで、暗くなりがちな雰囲気から浮上することが何度もあった。

 彼の底抜けの明るさと、そして軽さに感謝をしたい!

<それ、騎士として魔法士としてどうなのだ?>

 私は人間としてのヒースを大いに評価したいの!

 だから、それについてはノーコメント!

<それが答えのような気がするが>

 スヴァ、言うようになったね。

 ヒースはノアのほうを向くと、脇の下に手を入れて、高く持ち上げた。

「ノアよ! 姉上をよくお守りするのだぞ! そして自身も大切にな! 楽しい旅を!」

「あい! ヒーシュさまもおげんきで! またあいたいです!」

「うむ! また会おうぞ!」

 それからひと際高く、ノアを持ち上げた。

「きゃー!」

 ノアが楽しそうな声をあげる。

 ああ、今の私にはそれはしてやれないからなあ。

 もしかしてノアは、初めて高い高いをされたかもしれない。

 あのくそ親父がするわけないからな。

 良い思い出が出来た。

 ヒースに感謝!

 そして3人の旅路に幸あれ!

 3人は馬に乗ると、再会を約束し、旅立って行った。

 さーて。朝ごはん食べたら、4人で会議だ。

 もう少し旅に向けて話を詰めないとね。

別れもあり、出会いもあり、だから旅は楽しいとも言えますね。

ルミエール、ヒース、ブリア、また会う日まで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ