第393話 ティティ、深読みする
「人魚の居場所のヒントとやらは、私にも教えてもらえるのでしょうか?」
ルミエールが、冷静にきいてくる。
「いえ、申し訳ないですが」
そうだよね。やはり聞きたいよね。話の流れ上、人魚の話しちゃったけど、教えられないなあ。
乱獲されたら、大変だから。私基準でお断りします。
「国守さまからも、絶対秘密と言われていますから」
直接は言われてないけど、きっとそう。
「でしょうね」
ルミエールも、深追いしてこない。
国守さまの不興を買うのはいやだもんね。
ごめんね。やっぱ、話さなければよかったかな。
でもさ、ここからは内緒の話があるから、部屋を出てなんて言えないし。
話せるところまで話した方がいいかなって思ったんだよ。
「わかりました。そうすると、やはりこの地であなた方とはお別れのようですね」
ルミエールが、残念そうにため息をつく。
私は騙されないぞ。私に情が移ったとかじゃないよね。
あくまで君の父上の領地の利益の為だよね。
わかってるんだから。
しばらくは後を追ってこないか、見て置いたほうがいいかな。
「ああ! 小さなレディ! いよいよ君とお別れなんて! すごい寂しいよ!」
「私も、とても寂しいわ」
うん。ヒースとブリアは、100パー本音だね。
2人にはよくしてもらったもの。
「私も寂しいです」
「御使いさまのお使いがすんだら、また東の領に来てくれたら嬉しいわ」
うん。国守さまからのお話で私はどうやら、この国を出なくてはならないようだ。
そして国を出るには、東の領地を、必ず通過しなければならない。
隣国へ行くための出口は東にしかないからね。
「はい! そうします!」
だから、元気に即答である。
「うん、うん! 嬉しいよ! ぜひ、またうちに泊って欲しいな! 家族も喜ぶと思うし!」
ヒースが満面の笑みで、言ってくれる。
うーん。ヒースの家って、お貴族様のお屋敷だからなあ。
でも、国を出たら、当分帰って来れないかもしれないし、ご挨拶はしときたいな。
「お屋敷には、寄らせてもらうね」
泊めてもらうか否かは、その時の状況で。
「ああ、待ってるよ!」
「その時に、またいっぱい話しましょうね」
ブリアが色々な意味をこめて告げる。
うん。その時には、聖力循環が魔法士へどのくらい広がってるか、聞けたらいいな。
「城にも、寄るように」
ルミエールが当然のように付け加える。
ええっ! お城には行きたくないなあ。
<東の領主には、色々配慮してもらったろうが。挨拶くらいはしておくべきではないか?>
ぐっ。元魔王様のくせに、そういったところまで気がまわるんだね。
トップはそういったところまで考えなきゃならんのかね。
威張ってるだけじゃ、だめなんだな。
「わかりました」
「さあ、では明日はそれぞれの旅立ちに備え、解散しましょうか」
ブライトは旅のお供だから、当然人魚の居場所教えてもらえると思ってるから、にこにこ顔だね。
行けるか否かはわからないよ? また弾かれて落ち込んでも知らないからね。
はあ。とにもかくにも、やっと眠れるよう。
楽しかったけど、長い一日だったなあ。
ティティ、なかなか頭を使ってマス(笑)
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