第388話 ティティ、ヒースとブリアと内緒話をする
さて、ライアンにはノアの相手を頼もう。
少しでも仲良くなっておくれ。
「ライアン、詳しい事情はあとで話すから(たぶんね)、ノアの面倒を見つつ、薬草採りをしてもらえないかな? 今は時間があまりないからさ」
「わかりました」
うわあ。絶対の信頼。どうしてとかの疑問なしかあ。ありがたいけど、少し怖いよ。
「ノアも、ライお兄ちゃんのお手伝いをしてくれるかな?」
「ん~」
ちょっとぐずる様子を見せるノア。
そっか、そんなにねえねが好きか。
嬉しいけど、ここは優先順位があるからね。
「さっき教えた薬草を上手に採れるか、ねえねに見せて欲しいな。大丈夫だよ、ねえねは遠くに行く訳じゃないよ。ノアが見える範囲にいるからね。頑張れるかな?」
「あい」
そこでやっとノアは頷いてくれた。
うんうん、ごめんね、弟よ。
要件をちゃっちゃと済ませちゃうからね。
ライアンとノアは手を繋いでティティから離れて行った。
手を繋いでと言うより、ノアがライアンの手に掴まってと言ったほうが正確かな。
ちなみにワイスはノアのリュックの中だ。
「ニーネもよければ、ご飯食べに行ってきていいよ。ただ、近くにはいてね」
ただ見てるだけより、お散歩を楽しんだほうがいいだろう。
<はーい>
ニーネはするりと腕から離れると、ちょろりちょろりと行ってしまった。
<心話で呼びかければ、すぐに戻ってくるだろうよ>
スヴァが助言をしてくれる。
そっか。その手があったね。さっきは大声で呼んじゃったからな。
スマートに行こう。
どのくらいの距離まで伝わるのかなあ。
今度試してみたい。
とにもかくにも舞台は整った。
さて、黙って私たちのやり取りを見守っていた2人、ヒースとブリアに向き直る。
「おまたせ。時間がないから、手短に話すよ。国守さまとのやりとりの中で、ルミエールがいないところで話さなきゃいけないことがあるからこの場で急ぎ話すね」
「小さなレディ、お願いするよ」
「ええ」
真剣な話と思ったのか、2人が少し背筋を伸ばす。
「実は国守さまが、聖素を視えるようにしてくれたんだ」
と、ダイレクトにぶっこんでみる。
「ええっ!」
「本当かい! 小さなレディ!」
おお! ブリアとヒースよい反応! そうだよね! 私たち苦労したもんね!
「うん。元々私には視える素質があったらしいんだ。なんていうのかな、目にズレがあったみたいで、それを治してくれたっていうのが正しいかな」
次元のチャンネルみたいなものがあって、私はその視れるチャンネルが広いらしい。
ズレで狭まっていた視野を修正してくれたらしいのだ。
らしいと言うのは、国守さまがそう言ってたから。私には自覚なしなのだ。
あ、かちって合ったのはわかったけど、ズレてたのはわかんなかったっていうね。
「だからね。今私はこの森に飛んでいる聖素を視れるし、集められるようになったよ!」
試してないけど、感覚でわかる。できるぞ。
「ああ! なんて素晴らしいんだ! 小さなレディ!」
「すごいわ!」
「だから、順番に2人に聖素を感じさせてあげられると思う」
2人はその話を聞いて目を輝かせた。
「ありがとう! これで聖力循環ができるようになるな!」
「ええ! これで魔法士は長く生きられるのね!」
うんうん。ブリア、そうなるといいね!
魔法士のみんなが末永く生きられるといいね!
みんな長生き。みんなで楽しく!
いんじゃね?
中身ジオルって苦労した割に、すれてない。よきよき。
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