第386話 ティティ、ヒースたちと合流する
ニーネを回収して、ノアと手を繋いで、ヒースたちと合流すべく歩き始めてしばし。
特に問題もなく、祠へと到着。
そこには予想通りのメンバーがいた。
ヒース、ブリア、そしてライアンである。
「やあやあ。やっぱりここにいたね」
片手を軽く上げながら、ティティはヒースたちに声をかけた。
「小さなレディ! ああ、この僕としたことが、残念ながら、今回も御使いさまには目通りかなわなかったみたいだよ!」
膝のよごれをぱんぱんと叩きながら、立ち上がったヒースが、ティティたちに近寄ってくる。
「残念だわ。お声は聞いた事があるけれど、まだお姿は見たことがないから」
声を聞いたって言うのは、国守さまが、東の辺境伯を怒った時かな。
あの時は怖かったけど、普段は優しい声なんだよ。
2人は残念に思いながらも切り替えて、薬草採りに勤しんでいたらしい。
時間は有限なり。
この森でしか採れない薬草が、たくさんあるもんね。
ライアンにも今後役立つだろうからと、薬草採取のやり方を教えていたらしい。
それはありがたい。ライアンは騎士とはいえ、基本坊ちゃんだし、薬草採りなんてあまり知らないだろうからね。
しかし、こうなると薬草とり専門のショベルが欲しい。
それも私、ノア、ライ、ブライトと4つは最低欲しい。
これから長く旅を続けるから、ここで作ってもらっちゃうかな。
それとも少し我慢して、デルコに作ってもらうか。
考えどころである。
むーんと考え込んでいるところで、すっと目の前に人影ができた。
見上げると、そこにはライアンがいた。
なにやら、捨てられた子犬のような雰囲気である。
子犬というには、図体がデカいが。
それに捨ててはいないよ。不可抗力でおいていったが。
「ただいま。一緒に行けなくて残念だったね」
「私はやはり、ティティさんの功績を横取りした罪深い者だから、御目文字、叶わなかったんですね」
「いや、違うよ! 違うから!」
またこの子は、ネガティブな考えをして!
関係ないよ! 国守さまはどうして私が死ぬことになったか内情詳しく知ってるから、むしろ同情されてると思うぞ。
<まったくだな>
心話に戻したスヴァが、深く頷いている。
それに、お前が言うやな。
「そもそも国守さまと会えるのってレアだし?」
「ティティ、そこは言い切っていいわよ」
おっと、ブリアから鋭い突っ込みが入ったぜ。
いいね。ブリア、グッジョブ!
「でも、ティティさんは何度もお会いしてる」
「うーん。それはいろいろと有ってね?」
その事情を話すと、スヴァのことも話さなくてはならないし、今度はこっちが怒られそうだ。だから今はそれは話さないよ。
「私は一応国守さまの愛し子って事になってるし? 本当国守さまはライを嫌ってはいないよ? だって、苦しんでるみたいだから、助けるようにって私に助言してくれたぐらいだから」
すっごい遠回しにだけどね。間違ってはいない。
「俺のことを?」
「うん。ほら、一応魔王討伐の立役者だし、それに王家に近い人だからじゃないかな」
魔王討伐で目に着いたんだろう。王家だからって、国守さまは気にかけたりしなさそうだし。地上で一番偉い人だって、国守さまにとっては人間の一人でしかない。
それが何か?感じだろう。
「ありがたいことだ。そのおかげでティティさんに、また会えたのだから」
ライアンは素直に胸に手を当てて、感謝を捧げている。
うん。人間不信だけど、神さまや御使いさまには素直らしい。
よかった。まあ基本、ライは素直だよね。真っすぐすぎるけど。
<そうだな。貴族としても、人としても、生きにくいだろうな>
そうだよねえ。多少、人と交流することで人間のずるいところをみて、そうなんだなと受け入れて妥協して生きていくと、生きやすいとは思うんだけどねえ。
<お主が教えてやればよいだろう。外ずらだけで済ます方法などをな>
うーん。私も得意ではないからなあ。
<なら、得意そうなやつに任せればよいだろう>
得意そうな奴?
<いるだろう? もう一人追加になった奴が>
ああ、ブライト! なるほど! そうだね! 世間を渡る処世術を教えてもらうには、うってつけかもね。
うんうん。そうしよう。
私じゃ無理そうだし、面倒だ。
<最後に本音が出てるぞ>
はは。さ、日が暮れないうちに聖力循環の訓練をしようかね!
<その前に、弟とその相棒を紹介したほうがよいのではないか? そ奴は知らぬだろう?>
そっか。そうだね!
段取り大事!
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