第384話 ティティ、ヒントを得る
国守さまが、こちらをおもしろそうに見つめて、続けた。
<そうじゃ。人魚と交渉するのに、1つ情報をやろうか>
「おおっ! ありがとうございます!」
そうこなくちゃね!
難しいばかりじゃ、やる気がそげまくりますからっ。
なんのかんのといってもやっぱ、国守さまは優しいね。
<あ奴らに会ったら、困ったことがないか尋ねてみよ。さすれば、道は開ける>
なんか商人の営業みたいだねっ。
なんかお困りのことないっすかあ。なんて挨拶なかったでしたっけ。
ブライトが得意そうだ。
でも、それで交渉のきっかけがつかめるなら、使わせてもらいますよ。
「了解しました!」
しかし、西の領での課題からまたハードル上がったよね。
クリアできるかね。
<心配するな。まだ旅の始まりじゃ。易くできよう>
「そうですか?」
な、なに? もしかして、これってイージーな課題なのかな?
国守さまそうなの?
私、信じちゃうよ! ほら! 私、国守さまへの信頼度100パーセントだからねっ。
よっしゃ!
「わかりました! 頑張って手に入れて見せます!」
<うむ。励むがよい>
その時、黙って聞いていたスヴァが、口を開いた。
「まて。人魚の里は隠されておるのだろう。丘に着いて、どのように捜せばよいのだ」
<ほう。元魔王のお主でも捜せぬのか?>
「妖精、精霊のたぐいは、本気で隠れられたら、視つけるのが難い。視つけられても今の我では結界を破壊し突破するのは難しい」
スヴァが忌々しそうに言う。
おいおい。破壊するって、物騒なこというなよ。何事もまずは交渉、話し合いからだぞ。
<まあ。そうだろうの。それだけ力が半減していなければ、お主は今ここにおらぬからの>
スヴァがふんと、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
<ふふ。小魔王に免じて、もう少しヒントをやろうかの。妾の愛し子よ。其方がこの森でしてくれていること、そして妾との縁を結んだ時のようにしておれば、道は自然にひらける>
「国守さまに出会った時? そしてこの森でいつもやってること?」
えー。なにかなあ。
とんち?
私、国守さまと出会った時に、何かしてたかなあ。
むーん。
<さあ。もう存分に話した。其方の仲間も心配しておろう。もうお帰り>
「えっ! ちょっ! もうひとこえ!」
ヒントギブミー!!
しかしティティの叫びむなしく、国守さまは無情にも、右足を地面にポンと打ち付ける。
刹那。
ざあっと強い風が吹いて視界を遮る。
<また次に会うのを楽しみにしているよ。我が愛し子よ>
頭に響くは国守さまの優し気な、それでいて面白げな声。
次に目をあけた時には、祠にほど近い、前に来た森の空き地にいた。
腕にニーネ、傍らにスヴァ、ノア、そして亀のワイスが一匹。
「ちっ。あれがヒントか。」
ちょっ。スヴァ、舌打ち下品だよ!
まあ、私もちらりと思ったけどね。
はあ。とにかくも、今やることは一つ。
「まずは、薬草を集めるよー!」
ここで採れる薬草は貴重だからね。
旅をするにも先立つものが必要です!
国守さまとの会合は終了です。ティティ、お疲れ様でした。
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