第375話 ティティ、驚愕するも、悪あがきもする
「御使いよ。ならば、ノアは癒しの力が使えるようになるのか」
<しかり>
当然といったように、国守さまがうなずく。
「えっ?! ちょっとまって!? どういうこと!?」
癒やしの力は聖女さまが使える力だ。
てか、スヴァもしれっとすごいこと聞かないで!
「となると、ノアも平和に普通には暮らせないってこと!?」
「であるな」
スヴァが驚いた様子もなく、頷く。
まるでわかっていたというように。
<其方とずっと行動をともにするのじゃ。問題なかろうよ。使えたほうが、便利じゃろう? 今後怪我をしても弟が癒してくれるじゃろうて>
「えっ。ちょっと待ってください。それではまるで、私がお気楽に平穏に過ごすことができないって言われているようなんですけど!」
国守さまとスヴァが、そこで真顔で頷く。
ゴールデンシープやシルバーシープまで、決まっているというように、声を揃えて一声鳴く。
ちょっと! 満場一致ってどういうこと!?
私は諦めないよ! 平和でお気楽に楽しく旅をするんだから!
「願うのは構わないな。それが叶うかは不明だが」
スヴァがさらに追い打ちをかける。
<成長するにつれて聖力の扱いも長けてくるようになるだろうから、よい癒し手になり、精霊魔法も使えるようになるじゃろう>
国守さまもスルースキル発動か!?
くっ。とにかく説明を全部聞こう。
身体の心配をしなくてもよくなったのはいい事だよね。
すごいハイスペックになった為に、狙われやすくなったのは困るけれども。
これは私がしっかり守ってやれば大丈夫?
いや! ノアが癒しの力が使えるのを隠す!
徹底的に!
それ一択だろう!
<大丈夫じゃ。攻撃はできぬが、身を守る防御の術は身につけさせたからの>
なにそれ、なにそれ。すっごい気になる。
それとやっぱり、攻撃は難しいんだね。
精霊魔法は攻撃できないのかな。
<攻撃魔法についてはまだ早かろうよ>
あ、今はまだ教えてくれないらしい。
「では教えてもらえるのを楽しみにしてます」
「してます。ノアもいまはおなかいっぱいなの」
うん。そうだよね。そんなにたくさんいっぺんに覚えられないよね。
わかるわー。
「お主が使えるものではないだろう」
「それはわかってるよ。でもさ、横で見てるのは面白そうだからさ」
「お主は一つ覚えるのもいっぱいいっぱいだからな。まさに見てるだけになろうよ」
「ぐっ」
否定できないかな。
スルースキル発動だ。
「国守さま、ノアの防御の術?を見たいんですが」
今見たい、すぐ見たい。そして思いっきり褒めてあげるのだ!
わくわくするし!
<いや、それは後に。話しておかねばならぬことがまだまだあるのじゃ>
「え、そうなんですか?」
もうメインなところは話終わったかと思ったよ。
<そなたの身体のこともあるだろうよ>
国守さまがあきれたように呟く。
「こやつは、自身については軽く考えるところがあるから、困る」
<うむ>
スヴァの言葉に、国守さまがうなずく。
なに、2人とも仲が悪いのではなかったの?
なにそろって、困った奴だよ、お前はよって態度。
実は仲良しだったの?
でも、そか。私も魂半分だから倒れやすいんだったな。
このところ飢えないし、倒れないから、ちょっと忘れてたかも。
本当、ちょっとだからね。
だから、スヴァそのあきれたような目をやめて。
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