第373話 ティティ、弟の相棒と対面する
のそのそと歩くその速度は、ノアよりも遥かに遅い。
「亀、ですか」
<普通の亀ではないぞ。精霊に属する亀じゃ>
「そうなんすね」
なんか首を上にあげて、偉そうにしているけど、普通の亀にしか見えない。
体長も大人の女性の手のひらに乗るくらい。ノアが両手で持ってちょうどいいくらい。
ちっさい。
大丈夫か? こんなにちっさくて。
たよりなさそー。
「おい! 小娘! 今失礼なことを考えていただろう! ちっさ! とか、たよりねーとか!」
「おっ! しゃべれるのか?!」
「当たり前だろう。吾輩はかしこいのだ!」
また頭を逸らせて威張っている。
威厳もなにもねえ。可愛いだけだ。
自然、目が緩む。
「あ、お主、我を可愛いと思ったな。かっこいいと思え!」
「あーはいはい。かっこいねー」
「むー。こころがこもってないのじゃ!」
亀の精霊は地団太を踏む。
踏んでるつもりなんだよな。ゆっくりすぎてそうはみえないけど。
「国守さまぁ」
ちょっと不安になって国守さまに視線をむける。
<うむ。心配になるのも無理はない。なにせ、年若いからの。だが、仕事はしっかりするから安心するとよい>
「あ、国守さま、吾輩が年が小さい事は内緒にってお願いしましたのに!」
<約束はしておらぬぞ。それにこれから長きにわたり、ともに過ごすのじゃ。必要なことは伝えなければならぬ。こやつはちゃんと仕事はできるが、今申した通り、年若い。それにここから出たことがない。なので人間世界にはうとい。その点を注意して欲しい」
「わかりました」
「そこは我が注意しておこう。お主は自分自身のことでさえ、うっかりするからな」
スヴァがため息をつきながら、補足する。
「ちょっ! ひど!」
口では文句をいうものの、言い返せない。
だって、事実だから。くすん。
<うむ。よきにしてもらおう>
あ、国守さまも否定しない。
これはスルーだ、スルースキル発動だ!
しかし、話題の主の亀さんはスルーできなかったらしい。
「吾輩はしっかりしておるから、其方らの注意は不要じゃ!」
<おぬしは、この中でも一番の新参ものよ。我には従ってもらうぞ>
「わ、わかったのじゃ」
瞬時に上下関係が決定したようだ。
即答である。
スヴァはただ、亀さんを見ただけなのだろうが、ちっさくても元魔王さま、貫禄が違う。亀さん涙目で ある。
ところでこの亀、名前はついてるのかな?
ノアの相棒、亀さんでしたv
皆様の予想は当たっていたでしょうか?
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