第368話 ティティ、お昼を食べる
「ふう。こんなもんかね」
額の汗をぬぐい、綺麗になった祠を見て、ティティは満足そうに頷いた。
先日積年の汚れは落としていたこともあって、掃除はそれほど時間はかからなかった。
「じゃ、少し早いけど、お昼ご飯食べようか」
休憩も兼ねてね。
ここから先はティティしか進めない可能性が高い。
仲良く食べられる場所でいただく。
これ大事。
多少早弁になろうが、食べておくに越したことはない。
皆もわかっているのか、シートを広げてそこに腰をかけて、昼食の用意をする。
今日の昼食は卵とハムのサンドである。
バターを塗ったパンにゆで卵を輪切りにのせ、更にハムのスライスをオンしてあるらしい。
おかずとパンが両方同時に食べられるのがいいよね。
ただ、黒パンだと固すぎるので、お貴族様が一緒で白パンを使える時のみであるのが残念である。
そうこれはヨハネ村では調達できない。西の辺境領から持って来たものである。
収納袋に入れておけば、おいしいまま保管される。
ああ、なんて素敵。
ブリアが皆に卵とハムのサンドを配ってくれている間に、祠にも一つお供えする。
「美味しいですよう」
そう呟きつつ、ことりと皿を置いて祈る。
そしてふっと目をあげると、供えた卵サンドが消えていた。
「はやっ! 早いよ! 国守さま!」
まあ、パンが乾燥しないうちに食べて欲しいところではあったけれども。
「どうしたの? ティティ?」
ブリアがティティの分を用意してくれながら、首を傾げている。
「なんでもない」
皿を下げつつ、ブリアの隣へと座る。
スヴァはもう食べている。
待っててくれないのね。ま、いいけど。
さあ、私も食べるぞ!
うまあ!
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