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第35話 リッシュはやっぱり美人さんです

「こんにちはー!」

 街に戻ると、真っすぐにリッシュの店に向かう。

「あら、いらっしゃい! 今日は何が欲しいのかな?」

 うーん。相変わらずなエキゾチック美人、目の保養である。

「ティティ?」

「あ、すいません!つい、リッシュさんに見とれてしまって」

「はは。ごますりしても何もでないよ!」

 本当の事なのにな。美人は癒しである。

「今日は刺繍糸とハンカチを作る布が欲しいなって思って」

「なに? ティティが自分で作るの?」

「うん。縫物は得意なんだ」

「刺繍もできるんだ?」

「簡単なものならできます」

 孤児院にいた時、自分より小さい子たちにせがまれて、刺繍が強制的にうまくなった。

 チビたちはよく転んで、ズボンの膝がよく破れたからな。繕ってやりつつ、刺繍もしてやったりしたな。それで裁縫の腕がどんどん上がった。最終的にはかなりな腕前になった。

 さて、ティティに小さい手でどこまでできるか。

「その年ですごいわね。あ、その服似合ってるわよ」

「えへへ。ありがとう! 男の子に見える?」

「うん。見えるかな?」

 性別に迷うぐらいには見えてるならよしだ。

「刺繍入りのハンカチか、でき次第では買い取りもしてあげるわよ?」

「マジっすか?」

「マジっすよ」

「けど、うちに卸すよりもステラの姉さんのところに卸したほうがいいかな。うちは繊細なハンカチなんて滅多に売れないからなあ。はははは!」

「そ、そうですか」

 こういった場合、なんと答えたらいいのか。

「でも、ティティの作ったハンカチなら私が欲しいから、一枚はちょうだい」

「わかりました!」

 さりげなく誘導してくれたっぽいな。

「リッシュさん、優しいなあ」

「はは! 何のことだい! と、刺繍糸と布だったね。という訳で、うちにはあまりそういったこじゃれたものはないんだよ」

「そう言いつつ、示してくれたのは、刺繍糸が並んでいる棚だ。確かに少ない。その刺繍糸より気になったのは、その棚の前にあるワゴンである。

 色とりどりの端切れがどっさりと入っている。

「うわああ」

 これは見てるだけで、楽しい。

「なんだい? 糸より端切れのほうが気になったのかい?」

「はい! とても、綺麗です!」

「まあね。けど、使い道があまりないんだよね」

 ティティはワゴンを覗き込んだ。

 端切れなので単体では何も作れなさそうな布だ。

 しかし小物や膝あてなどに活用できそうだ。

 こういうの活用して、1つのちゃんとしたものにするの好きなんだよな。

 孤児院のちびたち、すげー喜んだし。

 あいつら元気かな?

 いかん。また感傷に浸ってしまった。

「いくらですか?」

「5枚で銅貨1枚だよ」

「安っ!安すぎじゃないですか?」

「そうかい? でも使い道があまりないから、それくらいでいいんだよ」

「私、買っていきます!」

「ありがとよ! それと、ハンカチにできそうな布は今ないから、ステラの姉さんのところに行ってみるといいよ」

「わかりました」

「それじゃ、刺繍糸と端切れ選びおわったら、呼んでおくれ」

 そういうと、リッシュは歩いて行ってしまった。

「うわあ。どうしようかな。安いから沢山買っちゃおうかな」

 目に鮮やかな布もあって、見てて飽きない。

「スヴァも見てみるか?」

 抱き上げて、ワゴンの中を見せる。

<うむ。確かに目が楽しいかもしれぬな>

「お、わかってるね」

<だが、我にはこれらを使用して何か作るなど思いつかぬな>

「おし、すぐには無理だけど、これらの布がどう変身するか見せてやるぞ」

 スヴァを下ろししながら、約束する。

<楽しみにしてる>

 ティティは気になる端切れを、50枚ほど見繕った。なにせ安い。大人買いしても平気だ。

「次は刺繍糸だな」

 うん。こちらは人気がなさそうな色の糸だ。

 だから安いんだな。

 色の種類も10種類ほどしかない。

 それでも使えるかもしれない。

 全種類買う事にした。

「リッシュさん、決まりました。会計お願いします」

 リッシュのいるカウンターに行くと、すぐに会計してくれる。

「あいよ。刺繍糸が1束銅貨8枚で、端切れは、お、こんなに買ってくれるのかい」

「はい、全部で50枚です」

「とすると、刺繍糸が大銅貨8枚で端切れが大銅貨1枚だね」

「合わせて大銅貨9枚ですね」

 ティティは昨日買ったお財布から、お金を取り出し、渡す。

「はい、確かに」

「はい、じゃあこれ。細かいものだけど大丈夫かい」

「問題ないです」

 くく。昨日作った手作りな袋があるのだ。今こそ使い時だ。

 中くらいの袋をリュックから取り出し、買ったものを入れる。

「おや。それ、もしかしてティティが作ったのかい?」

「はい。昨日ここで買った布で作りました。

 じゃんと自慢するように見せる。

「よくできてるねえ。大したもんだ」

「ありがとうございます、では今度ハンカチ作ったら、持ってきますね」

「ああ、待ってるよ」

 小さく手を振って、リッシュの店からでる。

 ちなみに買ったものもすべて、リュック経由で亜空間に収納済みだ。

 手軽で身軽。なんて素晴らしい亜空間だ。

<おい、浸ってる場合じゃないぞ。まだ買い物があるのだろう>

「そうだった! 次はステラの雑貨屋で歯ブラシ買うぞ!」

 忙し忙し! でも楽しいな!

今日は3回目の投稿です。

もし少しでもいいなあって思ってもらえたら、評価、ブクマをよろしくお願いします。

とてもとても励みになります!

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