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第357話 ティティ、冒険者ギルドで待ち伏せをする

「よっし! 行くぞ!」

 翌日、ティティは肩掛けカバンを持って、おともにテルミニーネとスヴァを連れ、部屋を後にした。

 昨晩ブリアに今日の予定を話したところ、ブライト、ライアンが同行するのなら、すまなそうにハッカサユリ草の研究を進めたいとのことであった。

 うん。いいと思うよ。視察ももう終盤も終盤、せっかくの違う領での交流があるのなら、そちらを優先していいと思う。

 そう思って、ブライトとライアンにもそう進めてみたが、あっさり却下されてしまった。

 ちぇ。1人ぶらり町散策してみたかったのに。

 気を取り直して、今朝も早朝、行動開始だ。

 朝ごはんも我慢して、ブライトとライアンとともに、馬車で冒険者ギルドの手前まで乗り付ける。

 今日の格好はリッシュの店で買った古着の上下である。

 ちょっと見、おチビな男の子に見える格好である。

 ブライトも今日は騎士服ではなく、冒険者に見えなくもない恰好をしている。ライアンはもうどんな服装しても目立つからね、がっつりフードをかぶらせている。

 馬車から降りて、少し歩いて冒険者ギルドへ。

「いるかな、いるかな~」

 中に入ると、早速きょろりと中を見回す。

「いないか~」

 そう、今日冒険者ギルドに来たのは、ここでの最後の用事、ロルフに会うことである。

 今日会えなければ、手紙を冒険者ギルドに渡してもらうように依頼を掛けるしかなくなる。

 できれば、会って話がしたい。

 別れの挨拶だけでなく、頼みたいこともあるからだ。

 なので、今日は朝食も採らずに、朝早く冒険者ギルドに来たのである。

 依頼が張ってあるボードの前には、もう数人の冒険者がいる。

 それでもまだかなり早い時間だからか、それほどでもない。

「よし! 朝ごはんを食べながら、今日は時間が許す限りここで待つぞ!」

 ティティは酒場兼休憩所になっているスペースに足を進めた。

 そして入り口が見やすいテーブルに座る。

 それに倣い、ブライトもライアンも座る。

 スヴァは足元、テルミニーネは鞄でねんころりんである。

「2人は特に好き嫌いないかな?」

 早急に朝食を頼むために、2人に尋ねる。

「ええ。ないですね」

「ありません」

「そっか。よかった」

 騎士として働く2人だ、戦場では好き嫌いなんて言ってられないのかもしれないな。

「じゃあ、私が2人の分もまとめて注文してもいい?」

「ええ、かまわないですよ」

 ブライトがそう返事をくれ、ライアンも頷く。

「よし! それじゃ注文しちゃうね!」

 ティティはカウンターにたたっと近づくと、内側にいるマスターに声をかけた。

「おはようございます! マスターおすすめの朝食を4つお願いします! あ、1つはこのお皿に盛ってください」

 そう言いつつ、スヴァ専用の皿をマスターに差し出す。

「なんだ? お前自前の皿か?」

「いえ! 私の相棒の分の皿です!」

 足元についてきたスヴァを指し示す。

 マスターがカウンターから乗り出して、スヴァを確認する。

「おう! なるほどな! 了解した!  席で待ってな! うまいものを作ってやるよ!」

「期待してます!」

 ごつっとしたマスターだけど、腕はどうかな。

 ああ、楽しみ!


ライアンがついて来るのはなぜか確定済み。誰も突っ込みません(笑)

ちょっと内容が薄いので、今日はもう1話投稿します。

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