第33話 薬草を探そう
今回は朝に投稿です。
「はあ。ないなあ」
ハンクに冒険者として格好良く決めて、勇んで来たゴルデバの北に位置するカシワラの森。この森はラムール国の国境となるリスコウム連峰に続く深い森だ。
ジオルの記憶によると、森の浅いところでも、薬草が豊富で、初心者冒険者には優しい森であったと記憶しているのだが、全くお目当ての薬草が見つからない。
ティティが探しているのは、キヨセルラ草とイミデア草である。
以前ジオルが採集に来た時には、この2つの薬草はわさわさ生えていて、街の外に出たら、すぐに見つかったものだ。なのに、全く見当たらない。見つけたとしても、地面からちょこりと生えたぐらいで規格に見合うほどに育っていないのである。
「これは昼飯買って来ておいて正解だな。すぐに終わると思ってた依頼だが、思いのほか時間がかかりそうだ。もっと森の奥に入らないと見つからなそうだ」
「大丈夫か?」
隣を歩いていたスヴァが尋ねる。
「何が?」
「昨晩、呻いていただろう、身体が痛いのではないか」
「ぐっ。気づいてたのか」
そうなのだ、自身気づかないふりをしてやり過ごしていたが、実は今の動くのが辛い。
「うう。そうなんだよ! 筋肉痛が辛いのなんのって! ティティは親に遠慮してあんま飯食わなかったし、あんま外にも出なかったから、筋肉も体力もないんだよな。だが、これからは一人で生きてかなきゃならないんだから、頑張るしかないんだよ! まずは体力作りが最優先だ! って、俺ってけなげじゃねえ?」
「合算年齢成人を遙かに超えた男にそう言われても、同情できない」
「なんだよ! 見た目は可愛い7歳の少女だぞ! 可愛がれよ!」
「中身を知っているだけに無理だ」
「なんだよ! 表面だけみろよ! 可愛だろうが!」
ティティの見た目は普通である。肩まである茶色の少しウエーブのある髪。唯一目を引くのは金色の瞳か。鼻の頭に少し散るそばかすがチャームポイントといえなくもない。
「俺はティティの顔、気に入ってるぞ」
男から見たら、ちょい可愛くらいにはまだ見えるだろ。将来はわからんが。
「ああ。どうかこのまま、内面が滲みでないように祈るばかりだな」
「どういう意味だよ!」
「ほら、無駄口叩いてる暇があれば、目的の草を探せ。我もあちらを探す」
漫才さながらの会話を続けているうちに、結構森の中へ入って来たようだ。
ここまでくれば、流石に見つかるだろう。
「よっしゃ! 気合を入れて探すぞ!」
ティティは腕まくりをして、探し始めた。




