第336話 ティティ、孤児院長にお菓子と玩具の許可を取る
おチビたちに与える玩具やお菓子について、ちゃんと院長先生に許可をとらないとね。
打ち合わせ大事っ。
院長室で院長先生とソファに向かい合って座る。
ブリアはソファの後ろだ。スヴァは足元、テルミニーネは鞄に入ってもらってる。蛇は怖がる子もいるかもしれないからね。
まずはお菓子からかな。
「魔物肉はご領主さまから差し入れがあったので、私はまたお菓子を持参して参りました」
ティティは鞄から買って来たお菓子を渡す。
お菓子屋のおばあちゃん推薦のコンフェと落甘である。50個入り3セットを出す。
「まあ。こんなに沢山のお菓子を、ありがとうございます」
「今日はお肉が大量にありますから、お菓子は後日にあげてください。楽しみは一日一つでいいかと思うので。お菓子は日持ちする砂糖菓子なので、ちょこっとずつ渡してもよろしいかと」
「わかりました」
「お祝い事の時や、子供たちが落ち込んだ時などに渡してもいいですし、院長先生の判断で」
そこで私はにやりと笑う。
そう、70人以上子供がいれば、ケンカもするし、もめごとなど日常茶飯事だ。
経験から院長先生は、それらをほとんどおさめられるだろう。
それでもどうしても小道具が必要になったりする。それに使ってもらえればと思う。子供たちをみるのは本当大変だから。院長先生の助けになればよいと思う。
「これは、お心遣い感謝致します。助かります」
どうやら院長先生は、その辺の意図をわかってくれたらしい。
「いえいえ。あとこちらは院長先生や大人の方達用に」
そう言いつつ、少し小さいコルフェの入った袋を渡す。
「院長先生方々も本当に疲れた時に、落ち込んだ時などそちらを食べてくださいね。先生たちがへばったら、大変ですから」
お菓子を買った後、少し考えて追加で小さい袋で買い足したものだ。
「まあ、わたくしたちにもですか」
「はい。これは子供たちではなく、先生達用ですからね。大人にも癒しは必要ですから」
院長含め、ここの大人の人たちはそうしないと、子供たちにすべて与えてしまいそうだから。
マジでそう。疲れた時に甘いものが一番だからねっ。
「まだ、お小さいですのに、隅々までのお心配り、感謝致します」
院長先生が、深々と頭を下げる。
「いえ! もうお礼はその辺で! 好きでやってることですから。それにそんなに敬語使わなくてよいですよ! 私は貴族ではないので」
それに私、みかけほど小さくないんで。
<それでも、其方のやってることは、この者たちの癒しにはなっているぞ>
スヴァがぼそりと心話で呟く。
そう、癒しまでなんだよねえ。救いにはならないところがつらいところ。それはここの領主さまに任せるしかない。私はしがない平民だからね。
と、その時、扉のほうからかたりと小さな音がした。
その音に顔をむけると、おチビたちがこちらを覗いていた。
私と目が合うと、ぴゅっと首を引っ込めて、またそーっと覗き込む。
「あらあら。ティティさまを待ちきれなかったみたいですね」
「それはうれしいですね。院長先生、あの子たちと少し遊んできていいですか。あの子たちと遊べるように玩具も持ってきたので。あ、危険なものではないですよ。怪我しないようにちゃんと職人さんにつくってもらったものですから」
そこ重要だからね。
2種類のおもちゃを収納袋から取り出して現物を見せる。
院長先生はそれらを見て頷いた。
「きっと喜びますわ」
「あ、お礼はもういいですよ! 先程から沢山言って貰っているので、私はおチビたちが喜んでくれればいいんです」
「ティティさま」
院長先生がふんわりと笑った。
はい。その優しい笑顔で、私は十分ですから。
「さて、おチビたちも待ってますし、私は一旦失礼しますね」
「はい。それでは私は領主さまにお手紙を書きたいと存じます」
「はい。お願いします」
それ重要。領主さまもそれできっと少しはこれからも気にかけてくれるはずだからねっ。
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