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第325話 ティティ、やり残しを確認する

「後、強いてあげるならば」

「なんだ? まだやり残しがあるっていうのかよ!」

 ティティはビビりながら、スヴァに強めの口調で問う。

「そうだな、やれればと言うレベルだが、魔法士の寿命を延ばす方法の伝授ではないか?」

「ああ、そうか。それがあったか」

 せっかくヒースやブリアが領地を超えてここまで来たのだから、伝えられれば、伝えたい。

 ブリアからも打診されたしな。

 視察の為に滞在した期間で、食堂でちらほら挨拶して知り合いになった魔法士もいるしな。

 でもこの課題については、私がしゃしゃり出れないよな。

 これ以上変な肩書増えたら、いやだし。

「それについては、ブリアとヒースに任せるしかないよなあ」

 だがそれについても厳しい状況だ。

 ティティは未だはっきりと聖素を示すことができず、2人の聖力循環も苦戦しているのが実情である。

 ティティが滞在の間に、聖力循環のことをここの魔法士に伝えるのは無理そうだ。

 次回にここを訪れた時に伝えてもらうしかなさそうだ。

「できるだけ早く聖力循環が広まって欲しいとは思うけど、すぐって訳には行かなそうだな」

「仕方ないか。できる範囲で道を示すしかないからな」

 視察を終えて、アーリデアルトの森までは旅は一緒だ。

 その間、できるだけ協力はするが、その後は彼らに任せるしかない。

 国守さまがアドバイスくれれば一発だろうが、この手のことを国守さまに求めてはいけない気がする。勘だけどな。

「聖女さまに協力してもらえたら、早そうだけどなあ」

「それは難しいのだろう?」

「だな」

「願わくば、我も聖女とやらを見てみたかった」

「自分の欲望が優先かよっ」

「もう一つの方法としては、魔法士の長とやらに協力を仰げれば一番いいのだろうがな」

 スヴァがしれっとスルーして言葉を重ねる。

 ったく、スルースキル、うまくなりやがって。

 それは置いておくとしても、スヴァの言った方法がとれれば、一番早そうだよな。

 魔法士の長は長命とのとのこと。

 おそらく、ティティと同じように、聖力と魔力の両方使えるのだろうというのが、スヴァの推論だ。

 その推論はすでにヒースやブリアに話している。

 ティティの事を伏せて、それをお偉いさんに話をするのも承諾している。

 後はそれを話して、どうにか長命な魔法士に協力してもらえれば希望がみえそうだ。

 だが、そうするか否かは、彼らに決めてもらうしかない。

「魔法士のお仲間にどう話を進めるかはヒースとブリアに任せるしかないよ」

 魔法士としてどうするかの方向性、そこまで、ティティが踏み込んだら、巻き込まれてしまい、大変になるのが目に見えている。

「となるこ、この課題では今は何もできることないかな」

「そうだな」

「後は何かあるか?」

「細かいところなら、孤児院に遊具を渡しに行かねばなるまい? お主、約束していたではないか」

「あ、そうだな」

 きっと子供たちはティティが行くまでずっと待ち続けてしまうだろうから。

 絶対行かないといけない。

「いいな! それ! 楽しいし! もうおもちゃ出来たかなあ」

 出来上がりをみるのも楽しみだ。

「後は、あのスラムの坊主の様子をここを離れる前に見て置いたほうがいいのではないか?」

「そっか?」

「うむ。面倒をみたなら、もう一度くらいは様子を見に行ったほうがよかろう」

「わかった」

 スヴァ、結構面倒見いいかもしれん。

「後は、アーリデアルトの森に残してきたお主の弟への土産を買うと言ってなかったか?」

「そうだね! それは重要だなっ!」

 国守さまにも買っていかねば。

 それは最重要項目だ。それにこの街の特産物や美味しいものを買って帰らないと。

「なんだ。後は楽しい事だけじゃんか」

 思わず、口角があがる。

「うん状況整理してよかった」

 ニンとティティは笑った。

「うむ。後、蛇足かもしれぬが、お主に少し金銭の余裕があるなら、今日魔物討伐に参加した者たちに酒のいっぱいでも振舞った方がよいだろう。迷惑料としてな。さすれば、其方への心象もよくなろう」

「わかった」

 やっぱ、魔族のトップを張ってただけある。

 そこまでの気配りができるってすげえな。

 全然思いつかなかったよ。

 元魔王様はやっぱりすげえ。

今回も課題の消化状況の確認になってしまいました。

しかし、迷惑をかけた者たちに酒のいっぱいでもおごる。それは間違っていないけれど、七歳の少女からのおごりだと受けてくれるかどうか(笑)。きっとブライトあたりが上手くやってくれる筈(笑)

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