表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
326/496

第324話 ティティ、課題を消化できたか吟味する

「ちゃっちゃとやっちゃうかあ」 

 ブリアが帰って来る前に。

 スヴァとはやっぱ、心話で話すよりも、面と向かって声に出して色々言い合った方が、話は整理しやすいもんな。

 がんばれ、私ってか?

 ティティはぐびりとまた果実水を一口飲む。

 それから、はあっと大きく息を吐いてから、頭を切り替える。

 くう。甘露が頭に染みるねえ。

 よっしゃ!

「あーっと! んじゃまずは、私の最初の目的からだな。ここブリストン領まで来たのは、7年前に魔王討伐隊で一緒に過ごしたライアンを一目見る為だな」

 そうなのだ。ティティたちは救国の英雄に会いに来たのではなく、ジオルが最期まで気にかけていた少年であり自分たちを殺させてしまったライアンが元気にやっているか、ただそれを確かめたくて、遥々来たのだ。

「それは達成されたな」

「ああ。最初、会えたのはいいが、おいおいどうしてそんなにストイックに生きているのかって心配なっちまったけど、私への負い目も軽くなった筈だからな、きっとそれも改善されるだろうさ」

 いや、改善させよう! 私が! 人生楽しまなくちゃね!

「そうだな。我らに同行するしないにかかわらずな」

 スヴァも同意する。

「本来なら元気な姿の確認、それだけでよかったんだが、アーリデアルトの森で、国守さまに課題をもらっちまったんだよな」

「うむ。国守から、2つの迷える魂を救うというものだな。これも達成したとしていいだろう」

「そうだな。迷える魂の1つはライアンだろうし、もう1つはニーネだろうからな」

<呼んだ?>

 自分の名前が出て来たからか、傍らに眠っていたニーネが薄目を開けて首をもたげる。

「いや。なんでもないよ」

 ニーネの顎を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細める。

 ライアン少年はこの7年まさしく心が迷子になっていたと言っていいだろう。

 ジオルの死により、ジオルの功績が政治的に抹殺されて、自分の手柄になってしまった。

 ジオルを殺してしまった罪悪感とそれとともに、ジオルの存在を伏せられ華々しく魔王を倒したことになり英雄に祭り上げられてしまった後ろめたさで、家を飛び出し、貴族社会に嫌気がさして、うちに閉じこもってしまった。

 それをさっきの話し合いで、なんとか方向性をつけさせたのだから、よしとしたいところである。

 とはいえ、課題はまだまだあると言わざるを得ない。

 ジオルを殺してしまった罪悪感は、転生体としてとはいえ再びジオルに会えたことで薄まったとみてよいだろう。

 だが、家族とはまだ疎遠であり、貴族社会への嫌悪感は払しょくできていない。

 これも間接的にはジオルの死が引き金だから、貴族社会への嫌悪感を払しょくして親元に返してあげるのがベストな気がする。

 旅を続けていくのは結構過酷だ。若い時はいいが、折角騎士の身分があるんだから、1つのところに安住したほうがいいに決まってる。

 折角公爵家に生まれたアドバンテージがあるのだから、安全に長生きしてほしいものである。

 ま、私は貴族社会なんて窮屈でいやだけどな。

 自活する厳しさはあるが、平民でお気楽に暮らしたいティティである。

 話しがずれてしまったが、とりあえずライアンの迷子は最低ラインクリアできたと国守さまにはお許しいただけるんではないかと思う。

「次はニーネか」

 迷える魂その2ってか。

(ジオル)の死を知らずか、知っていても魔王領で待っていたのかわからないが、文字通り迷子だった訳だな。こうして合流できた今、一緒に旅することは決定なので、迷子脱出で、つまりはクリアでいいよな?」

「うむ」

「となると、国守さまの課題全クリアでいいな」

「よいのではないか?」

「よっしゃ! んで、後この地でやり残した事ってあるか?」

 ないだろ?

 ないよなあ(切望)!?

国守さまからの課題はぎりぎりクリアです。多分(笑)

解説っぽい回になったので、今日はもう一話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ