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第312話  ティティ、仲間を説得する。

 ライアンは一応落ち着いたので、砦に戻ってお話し合い。

 ここまではよし。

 さて、次の問題である。

 それはこの騒ぎの張本人であるテルミニーネだ。

「ティティちゃん、この子、君の従魔だってことだけど、どうするの?」

 ブライトが尋ねてくる。

「えっと? 砦に入れてもらう訳には?」

「いかないねえ」

 ですよねー。

 いくらニーネに敵対意志はないと、ティティが言ってもこれだけ巨大な魔物である。

 なんかの拍子に砦内で暴れられたら、たまらないだろう。

 ライアンの件が終わるまで、大人しく待っていたテルミニーネに向き直る。

<主さま>

 テルミニーネが嬉しそうにチョロリと舌を震わせる。

 うん。他の人には威嚇に見えるからやめてね。

 ほら、ヒースもブリアもブライトも、剣に手をかけちゃってるから。

 ライアンはニーネを知ってるからか、動かないね。

 てか、ライアン近いよ。もう少し離れてくれ。

 しかし。

 改めてテルミニーネを見る。

 うーん。ブライトが許可してくれても、砦に入んないっしょ。

 入っても精々訓練場で待機してもらうしかないよ。

 なら、ここで待ってもらうほうが窮屈じゃないよね。

「あー。ニーネ? ここで待っててくれる? 私ちょっと砦で話して来なくちゃならないから」

<やー>

 ふるふると頭を振るニーネ。

 くっ可愛いじゃないか。

 そう思ったのはティティだけらしい。

 ニーネが頭を揺らすと、念のため居残りを命じられた不運な数人の騎士たちは、顔を引きつらせている。

 そうだよなあ。私は図体が大きくなっても可愛い従魔であることに変わりがないから、全然怖くないけど、砦の人たちは私のこともよく知らないのに、私が大丈夫と言ったところで安心できないよなあ。

 しかしよく育ったなあ。

 最後に見た時は1メトルくらいな長さであったのに。

<魔王領には魔素が多いからな。それにこやつの身体が魔素に順応しやすかったのもあるのだろう。変異主かもしれぬな>

 スヴァが丁寧に解説してくれる。

 そうは言っても育ち過ぎだよ。

 一緒に行動するのも苦労しそうだ。

<お主、こやつを旅に連れて行くつもりか?>

<当たり前だよ。せっかく会えたんだから。連れてくよ?>

<わーい。主さま~。嬉しい~>

 ティティとスヴァの心話が聞こえたのか、ニーネがしっぽを振って喜びを表す。

「ああ。嬉しいのはわかったから、尻尾動かさないで。畑になるくらいいい感じに地面が耕されてるからっ」

 てか、私たちの会話ニーネなぜわかった?

<我もあ奴もお主とつながりがあるからだろうて>

 なるほど。って、納得してる場合じゃないね。

 今はニーネを説得しないと。

「ニーネ、お願いここで大人しく待ってて。ほら、今の大きさだと、砦に入るの無理でしょ?」

 ティティは砦の入り口を示してみせる。

 すると、じっと入り口を見つめ、そしてティティを見つめたニーネは頷く。

<んー、なら、ニーネ小さくなるぅー>

 テルミニーネは心話でそう宣言すると、いきなり眩く光った。

「うわっ! ニーネ眩しいよ!」

 反射的に目を瞑ったティティ。

 次に目を開いた時には、テルミニーネは、7年前と同じくらいの50セチほどになっていた。

<主さまぁ、これなら一緒に行ってもいいでしょー>

「ああ、うん。そだね」

「ティティちゃん、どういうこと!?」

 黙ってティティとニーネのやりとりを見ていたブライトが目を白黒させている。

「小さなレディ?!」

「ティティ!?」

 ヒースやブリアもしかりである。

 うん。たびたび驚かせてごめんなさい。

 いきなり巨大な蛇が普通サイズになったら驚くよね。

 いや、私も驚いたから、相子ってことで。

<うむ。変身能力もあるのか? 便利であるの>

 スヴァ、冷静な分析だね。うん。

 てか、そうだね。これなら、大丈夫かな。

「ブライトさん、これなら、砦に連れて行ってもいいですか?」

 ブライトの質問を綺麗にスルーしてティティは尋ねる。

「ああ、うーん。そうだね」

 ブライトは少し考え込むと踵を返した。

「ちょっと待ってて」

 そして砦の中へと駆け出していった。

 ほどなくして、戻って来たブライトの手には一つの首輪があった。

 魔力封じの首輪らしい。

 一先ず安心とわかるまでは、これを首に巻き付けてなら、砦に入れてよいとのシリンジャー様の許可が下りたらしい。

 よかったけど、ニーネの首ってどこだ?

 と思ったけど、この辺かなっと思ったところに首輪をつける。

 いやがるかと思ったが、テルミニーネはすんなり受け入れた。

<主さまといられるほうが大事なのー>

 ティティの腕に巻き着いたニーネの言である。

 うむ。女の子なのに、男前である。

 これでとりあえず全員が砦に撤収できることになった。

「この子、本当にティティちゃんの従魔なんだね。この子と意思疎通できてるもんね?」

「あ、はい。なんとなくこの子の言ってることわかるし、ニーネ自体も私の言ってる事理解してますね」

 あはは。うそです。意思疎通ばっちりです。

 でも、そこまでは言わないよー。

「はあ。ティティちゃんにはマジで色々驚かされるね」

 ブライトが疲れたようにため息をついた。

 なんかすいません。

 ブライト、君もそんなに疲れてるなら、話し合いは明日にしないかい?

 今日は私も疲れたよ。

1セチは1センチです。

そしてティティ、ニーネに説得されてしまいました(笑)

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