第311話 ティティ、説明を求められる
ティティとライアンのやり取りから、訳が分からないながらも、どうやら、この大蛇は危険がないと判断されたようで、テルミニーネへの攻撃はなくなった。
テルミニーネがラスボス的な立ち位置だったようで、魔物討伐も終了となった。
「ティティちゃんにはじっくり話を聞くからね」
ブライトに迫力のある笑顔で言われ、新たにたらりと汗を流す。
そしてブリアからの責めるような視線がつらい。
「ティティ、お部屋に帰ったらよ~く、話し合いましょうね?」
「はは」
ブライトからの聴取の後に、彼女からの更なる説教がありそうである。
うう。私が悪いのか?
でもさ。私が出て来たことで、早く終わったじゃん。
結果的に丸く収まったのだから、大目に見てくれないかなあ。
視線を上に向けて、ティティは大きな息を吐きだした。
とにかくも、まずは目の前の人物をなんとかしなくてはならない。
ブライトに話すのはそれからだろう。
ブライトやブリアと、やりとりをしてる間も、ずっとティティにしがみついて離れなかったライアンである。
これは絵面的によくない。
ライアン青年は今は余裕がないのかもしれないが、後で思い返した時に赤面してしまうだろう。
それに周りの騎士や魔法士たちも、今のライアンを見て、驚愕している。
うん。早急に事態を収拾する必要がある。
「ライ? そろそろ落ち着いたか?」
ティティの問いかけに、腕の力を緩めてくれたもののまだ離れない。
やれやれ、昨日までの君はどこへ行ってしまったんだい。
「ほらほら」
促すようにポンポンと彼の腕を叩くと、渋々といったようにやっと離れてくれた。
ふう。私の肋骨は無事なようだ。
「それじゃ、場所を移そうか」
ブライトがそう告げる。
ティティたち以外の騎士や魔法士たちは、すでに撤収し始めていた。
ライアンとティティに好奇の視線を投げてくるものもいたが、隊長格に睨まれると、皆大人しく砦へと引き上げて行く。
うーん。明日には噂が色々飛び交ってそう。
娯楽が少ない最前線である。こんな美味しい話、憶測が飛びまくらない筈がない。
つんつんぼっちな英雄様の新たな一面だもんなあ。
あまりはやし立てないでやって欲しい。
<それだけの勇気のある奴がおるかの>
しかり。
<スヴァは賢者だねえ>
<お主は余裕じゃの。これから色々聞かれるだろうて。どこまで話すか決めておけよ>
<わかってるよ>
とはいうものの、なんか色々バレっちゃったよね。
みんな秘密にしてくれるかなあ。
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