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第299話 まずは真面目に視察しようかな

 最低の再会を果たした翌日。

 昨日はもう早々に寝てしまおうと、ミーティングは、朝食を食べつつ、行うことにしたティティである。

が、

「ライアンさまのことは一旦脇においておいて、せっかくマクベス砦に来たんですから、砦をじっくり見学しなきゃ。普通砦の内部なんて、滅多に見れないんですから」

 ブライトが取り繕うように、胡散臭い笑顔で言われて。

 確かにとティティは思った。

 一般人はここまで入って来れないからね。

 マクベス砦。

 魔王領に面する側の高い壁は鳥が羽を広げたよう左右に長く広がっている。

 優美さも兼ね備えた砦である。

 魔王領に接する地域は深い森が領全体に長く広がっている。

 この魔王領に隣接する森をラクラシの森と呼ぶ。

 このラクラシの森には魔物が多く生息しており、定期的に狩らないと、ヘクタが治めるプルシコバ領に溢れだし領民を脅かす。

 その為、砦に詰める騎士や魔法士のほか、冒険者もラクラシの森に入ることを許されている。

 ただし、許されているのはCランク以上の冒険者である。

 すなわち一人前と認められたランクからである。

 さらに言えばBランク以上が推奨とのこと。

 このラクラシの森に入るには、マクベス砦を通る決まりがある。

 マクベス砦は魔王領の最前線である。

 不測の事態に備えて、状況を素早く把握しなくてはならないからである。

 つまりは、冒険者であっても、Eランクのティティは普通砦に来られない。

 来られたとしても入れない。視察団のおまめだからこそマクベス砦に来られ、もしかしたら、ラクラシの森にも入れるかもしれない。

 更に更に魔王領にも行けるかもしれない。

<お主、魔王領に入りたいのか?>

<うん。私が死んだ後、どんな風になってるかなあと思って>

<今領に入ったら死ぬぞ?>

<あ、やっぱり?>

(前世)の時もよく死なずに来たものだがな>

<それは強い味方の後ろを注意深くついて行ったからね>

 弱者の知恵である。

<今はお前がいるからさ。魔王領に入っても守ってくれるだろ?>

<うむ。我がいれば造作もない>

 スヴァが胸を張る。

<しかし、行っても面白味もないぞ? 7年も経っていれば、城など修復は完了しておるだろうしな>

<ええっ。結構魔法でぼろぼろになってたと思うけど!>

<我らは魔力が膨大にあるのだぞ。魔法を使えば城の修復などすぐだ。死なねば、怪我などもすぐに癒える>

<はあ! やっぱ、魔族って半端ねえなあ!>

 でもやっぱりちょろっと見てみたいなあ。

 この前来た時は、魔王討伐に来たから、じっくり見る時間も心の余裕もなかったからね。

<ふん。物好きなことだな。だが、魔王城を其方が再び見る事は叶わぬだろうな>

<えっ?! なんで?>

<魔王城は魔王討伐の時のみ、侵入を許すからだ>

<ええっ!? じゃあ、7年前俺たちが魔王城に入れたのって、俺たちの実力ではなく、入れてくれたってこと?>

<そうだ。勇者であれば、また話が違うが、当たり前であろう。我らのほうが力は遥かに強いのだ。ただその力を人間にぶつけることが叶わぬから、お主たちは魔族と対峙できていたにすぎぬ>

<はあ。そうなんだ。なんか裏の事情しっちゃうと自分たちがなんか滑稽だなって思う>

 人間を助ける為に存在する魔王を敵として倒すって、何て皮肉。

<我らはそういう役割なのだから、言ってもせんないことよ>

 はあ。何百年も生きていると、その境地まで達するのかね。

 他の魔族は不満ないのかな。

 なんか申し訳ない。

裏事情は知らない方が精神的にいいですね。

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