第289話 えっ!? そうなの?!
短めです。
「ふう。やれやれ。ひどい目にあったよ」
ブリアと入れ違いに浴室から出て来たティティは、少し乱暴にベッドに腰を掛ける。
<おい。行儀が悪いぞ>
足元に来たスヴァより、すかさず注意が飛ぶ。
「だって、超疲れたんだよ。あの蛙の匂いで精神的にな」
ティティは恨みがましくスヴァを睨む。
<うむ。疲れた時には甘いものがよいというぞ。もうすぐ夕食だろうが、一つぐらい果物でも食べたらよいのではないか?>
スヴァは素知らぬ顔してそう、宣った。
「ったく!」
そう零しつつ、亜空間よりトゲボウシを取り出して一粒口に含む。
スヴァにも一粒投げてやる。
<うむ。もう一粒くれ>
引け目なし、遠慮なしである。
私は大人だからな。根に持たないよ。
「ほらよ」
ご要望どうりにもう一粒投げてやる。
スヴァが上手くお口でキャッチ。
うむ。可愛い。
口をもぐもぐさせた後、スヴァが少し改まったように、ティティをじっと見つめた。
なんだ? もう一粒欲しいのか? そんな顔しなくてもやるぞ?
<城に戻る間に考えたんだが>
どうやら違うらしい。
私はもう一粒食べる。
んん。んまい。
じっくりトゲボウシを味わった後に、返事をする。
「何を考えたんだよ」
<お主が救う魂の1つはあの小僧だったのではないか?>
「えっ!?」
<あの小僧はお主の行いで確かに救われたであろう?>
「ま、そうかな?そうかも?」
確かに底辺の暮らしから抜け出すきっかけを作ったと言えるな。
<あの小僧に会ったのも、偶然ではなく御使いの導きだったのではないか? でなければ、一日足らずで、ゴーストが湧いたなどという大きな情報をお主が入手できる筈はなかろうて>
「そっか? 私が運がよかっただけかも」
<その可能性もあるが、お主の行動によってあの小僧が救われたことは確かだ。ならば、御使いの言っていた救わなければならない魂とやらと考えていいのではないか?>
「うーん。そうだったらいいけど」
ティティは手ぬぐいを首にかけ、腕を組む。
そうであったら、国守の出した課題の半分はクリアしたことになるんだから。
「判断がなあ。わかんないんだよなー。こうクリアしたら、クリアしました!って頭の中に信号送ってくれたらいいんだけどなあ」
今度教会に行った時に頼んでみるか?
<まあ、1つの可能性として考えておいていいのではないか?>
「そうだな! 半分終わったかもって思うと次に弾みがつくもんな! うん! スヴァ、アドバイスありがとう!」
<お主のお人好しも役にたったな>
スヴァ! 一言多いよ!!
今日はもう一話投稿したいと思ってます。
よろしければ、本日また来訪お待ちしてます!




