第266話 あ、やっちまった!
「ティティちゃん、視えるの?」
ブライトが突っ込んで来た。
「ああ!」
いけない! つい怖くて、そのまま言っちゃったよ。
違います。視えるのは元魔王のスヴァです。
って言えたらいいけど、言えないし。
うわあ、今更視えないです、てへ。なんて言ってもだめだろうなあ。
すごい具体的に言っちゃったもんな。
スヴァ(従魔)と意思疎通できるにしても、具体的すぎた。
スヴァと話せることは秘密にしたいし。
<お主は、うかつすぎるな>
<ぐう。めんぼくない>
これはもう、私が視えると言わないとだめか。
「あははあ! そうみたいです~。自分でも初めて気づきました」
「そうか。冒険者になったばかりだったら、アンデッドなんて初めてだよね。そっかそうかあ」
ブライトにこにこである。
「そうなんですよう」
なんかやな予感。
<スヴァ、フォロー頼む>
<承知した>
「でも、ラッキーだったなあ。これで魔素玉を使っても、無駄にはならないね」
ブライトの顔色がすっげえ明るくなった。
ちくしょう。私の顔色はきっと青いのに。
<自業自得だ。日ごろから言葉に気を付けろと言っておるのに>
<だって、ゴースト! 怖いじゃないか! 慌てちゃったんだよ!>
<怖い? そうか?>
うん。そうだね。元魔王だ。恐さなんて一ミリもない。
愚痴った相手が悪かった。
こほん。仕切り直しだ。
<スヴァ、お前にははっきり視えるんだな?>
<無論だ>
<まだ、窓辺にいる?>
<いるな。薬師を入れて、4体>
「4体?!」
「えっ! 小さなレディ! 今 なんて!? 4体いるのかい!?」
うえ。思わず、驚きで声が出ちゃった。
<お主は>
スヴァがあきれたように、首を振る。
うう。しょうがないだろう。
「あ、はい。あの窓に4体いるんですけど、誰か視えますか?」
ルミエール、ヒース、ブリア、ブライト、それに、魔法士、騎士のみんなも皆首を振る。
「騎士のルイも視えないとなると、本当弱っちいアンデッドなんだな」
気の毒な騎士さんの名前は、ルイさんだった。
<一番強い反応は、おそらく死んだ薬師だろうな。窓にへばりついてるぞ>
スヴァの言葉をそのまま伝えて、もう一度視てもらう。
皆全滅である。
「となると、魔素玉、中玉か、大玉を使うしかないか。小玉で済めばと思ったけど」
ブライトががっかりしている。
<主だったのは4体だが、それ以外でも結構いるぞ。皆が視えるように出し惜しみしないほうがいいのではないか>
「あの、ブライトさん、なぜかわかりませんが、家の中に結構いるみたいですよ? 大玉使ったほうがいいかもです」
「何体いるかわかる?」
<10体はいそうだな。人型のは?>
<ちょっとまて。人型のはって、違うのもいるの?!>
<いるぞ? 4つ足の奴が何匹か>
スヴァさん、それが何か? みたいに平然というのやめて!
「ルミエール様、ブライトさん、魔物のアンデッドもいるみたいです」
「なんだって! ヘルドッグか?」
<そこまでいってないな。元は魔物じゃなくて、獣だったのかもしれない。まだもどきといったところか>
「そこまでいってないですね。まだ自分のことを把握してないのかも」
「わかりました。強力なアンデッドになる前に、片付けましょう」
「了解しました!」
「小さなレディ、お手柄だったね」
「ええ、作戦が立てやすくなったわ」
ブリアとヒースが頭を撫でてくれる。
「はは、よかったです」
なんか、大事になって来たぞ。魔法士さんや騎士さんがバタバタ動き回ってるよ。
これは薬草を踏みつけないでって言えないかも。
庭が野生化してるから、結構薬草繁殖してるのに。
<お主、まだあきらめてなかったのか>
だって、もったいないだろっ!
あーん!私の薬草があああ!
薬草後で採れるといいね。
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