表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
265/496

第263話 アンデッド講座続きの続き

 魔素玉? なにそれ?

 ティティが首を傾げる。

「そうゴーストのような実体が薄弱なものを視る特殊な目を持つ人間はあまりいないからね。アイテムを使うのさ。ブライト殿、持って来ているのだろう? 小さなレディに見せてあげてくれないかい?」

「わかりました、ティティ、これが魔素玉だよ」

 ブライトは袋から、大人の男の人の親指関節くらいの黒い玉を取り出した。

 ブライトの手のひらに載った、黒い玉をティティはしげしげと見つめる。

 ただのすすけた黒い玉にしかみえない。

 これでゴーストが見えたり、その魔石が見えたりするの?

「どのように使うんですか?」

「簡単だよ。地面にぶつけて割ると、一時的にそこの場所の魔素が濃くなり、魔素だまりができる。そこにゴーストがいれば、その魔素で強化されて視えるようになるんだ」

「ええっ! 危険じゃないんですか? それって魔物を強くするってことですよね?」

「うん。でもそうしないと視えないし。でもね、可視できないくらいのゴーストなら、少し強化されたところで、我々だったら、脅威にはならないね」

 意外とブライト強いのかな。

<お主、何気に失礼だな>

 ははは。

「じゃあ、簡単にゴースト発見できる訳ですね、よいアイテムがあって良かったですね。昨日もそれを使ったんですか?」

「よくないんですよ! この魔素玉、結構な値段するんです! ゴーストを退治しただけだったら、赤字ですよ!」

「そ、そうなんですか。でも、ブライトさんの懐は痛まないんだから、よくないですか? 経費でしょ?」

「そういう問題じゃないんです!」

 ブライトの圧がすごい。

 商人の息子としては採算がとれないのは、許せないのかもしれない。

「さらに!」

 ブライトの力説は続く。

「ゴーストが可視化しても、魔石まで視えないとなると、更に可視玉を使用しなくてはならないんです!これもかなり高いんですよ!」

「へ、へえ! そうなんですか。大変ですね。それの威力は単一なんですか?」

「よくぞ聞いてくれました! 実は魔素玉も可視玉も、大、中、小玉とありまして、できれば小玉で済ませられれば、いいんですが、ケチったばかりに、中玉、大玉を次々に使うようになったらもう!」

 うん、ブライトの顔のほうが恐いね。

「私たち魔法士が使うものもそうだけど、アイテムって結構するの。個人で負担するならともかく、領地の予算から出すとしたら、的確に使わないと怒られるわね」

 ブリア、追加の説明ありがとう。

「そうなんですよ! だから、昨日は魔素玉は使わなかったですよ。幸い、我が領の騎士の中に、視える者がおりますからね。そいつを引っ張って、いや同行してもらいました!」

 その騎士さん、アンデッド関連では毎回、引き出されるのかな。

 気の毒に。頑張れ騎士さん! 私は応援してるぞ!

「それでゴーストは確認できたんですか?」

「いいえ。残念ながら、くそっ。あいつ使えねえ!」

 毒を吐くブライト、引っ張り出された騎士さん、可哀そうすぎる。

「結構、良い目を持ってる奴なんで、あいつが確認できないなら、ゴーストはいないかもしれませんね」

 ブライト、都合のいい方に解釈してる。

「そうなれば、今日は薬草だけの採取で終わりそうです。あーよかった」

 そこでブライトが胸を撫で下ろす。

「けど、最終確認の為に、最低魔素玉の小玉の使用は必要になるんじゃないですか?」

 そのティティの言葉を聞いて、ブライトがぎっとこちらを睨んでくる。

 な、なんだよ。だろ?

「今日も視える筈のあいつがゴーストを見つけられなかったら、そうなりますね!」

 もはやあいつ呼ばわりか。可哀そうな騎士さん。

「それで、みつかったら、あいつどうしてくれよう」

 騎士さん、ブライトより下らしい。やめていじめはよくないよ!

「もし万が一ゴーストがいたとしても、是非とも経費節減の為に、ブリアさん、どうか、アイテム使用追加は考えてお使いいただければと!!」

 ブライトが血走った眼をブリアに向ける。

「私が指揮をするわけではないから、私に言われても」

 ブリアが困ったように眉をハの字にする。

 そう、この会話からもわかるようにブリアたちも魔法士の為、後方支援するらしい。

「そうとも! そうしたいのは山々だけどね! 僕とブリアも、ゴーストを見る目がないからね! 危険を避けるためには存分に使用させてもらいたいな!」

「私もないです」

 ルミエールも無常に告げる。

「ああ! どうか始末書いきにはなりませんように!」

 ブライトがこの世の終わりとでもいうように、嘆く。

「皆様方、経験豊富ですから、その気配とか感じたりしないんですか?」

 なんか、達人ぽいそれ。みんな強そうだし使えないのかなあ。

 あ、私はもちろん無理だよ。今も昔もね。

「魔素が濃いとかはわかるわよ? でもそれがゴーストのせいか判断つかないかな」

「しかり! 薬の調合をしている場所って魔素がたまりやすかったりするんだよ! 何かいるといいね!ちょっとワクワクだね!」

「ヒース様! 不謹慎ですよ! ゴーストが居そうでなければ、魔素玉は使わないですからね。ええ、ええ。日にちをかけてあいつにじっくり捜査させます。そうしましょう! だから、空振りになっても、皆さま文句は言わないでくださいね!!」

「わ、わかりました」

 ゴースト退治が見れないのは残念だけど、ブライトの嘆きを見たら、これ以上強くは言えないね。

 でもゴースト退治見たいなあ。

アンデッド講座終了~。

そしてそして、いつもお読みいただきありがとうございます!

少しでもおもしろいっと思っていただけましたら、ブクマ、評価をどうかよろしくお願い致します。

励みになります~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ