第260話 やだやだっ!ぜったいついていくからあああ!!
なんか徐々に一話が長くなって行くような。
話しを戻して戻してっと。
「それで、ゴーストはいたんですか?」
正面に座ったブライトに尋ねる。
ご飯食べてるのに、聞いてごめんね。
「まだ確認できていないよ」
「じゃ、デマだったんですかね」
「いや、そうとは限らないよ、小さなレディ。存在が微弱なゴーストの場合、普通の人間では確認は難しいんだ。特に昼間の確認は難しい。だから、いないとは限らない」
ブライトの隣に座るヒースが、解説してくれる。
「へえ、そうなんですね」
アンデッドにも色々あるらしい。
「僕は報告の為に一度帰って来たけど、これからまた増員の魔法士を連れて、現場に戻るつもりだよ。
確認されれば、討伐は明日になるかな。夜はアンデッドたちの力が強まるからね」
「はいはいっ! そうなったら、明日私も行きたいです! 庭に野生化した薬草を採集したいです! あ、ブライトさん領主さまに採っていいか聞いてくれました?」
ティティはテーブルに両手をついて身を乗り出す。
だって、薬草採取がかかってるからね。ちゃんと聞いておかないとっ。
「うん、今回の重要な情報を見つけてくれたからね。許可が下りたよ」
「やったあ!」
「ただし、ゴーストの討伐が終わってからだ。だから明日は連れていけないな。もし今日見つけられなかったとしても、数日は調査するからね。安全とわかれば、連れて行ってあげるよ」
「ええ! 困ります!」
「困る? 薬草は逃げないわよ?」
ティティの隣に座っていたブリアが首を傾げる。
「だって! もしゴーストがいたら、庭の薬草が踏みつぶされたりしませんか? それに家の中にも貴重な薬草があるかもです。私、結構知識があるんですよ。それが台無しになったらもったいないです!」
知識があるのはスヴァだけどね。
「ブライトさんはどうですか?」
「ある程度はあるかな?」
なんで疑問形なの? どうやら、自信はあまりないようだ。
「薬草の知識を持っているものを連れていけばいいでしょう。ティティが行く必要はありません。私でもヒースでもブリアも相応の知識はありますよ。私たちで事足りますよ」
ヒースの隣に座るルミエールの言葉に、ヒースとブリアが頷く。
そりゃそうだよね。みんな優秀な魔法士だもんね。
薬草の知識は豊富そうだ。
くそっ。正論をいいやがって。
薬草はもちろんだけど、アンデッド退治も見たいんだ!
今後、冒険者としての活動の幅が広がりそうじゃないか。
「私が得た情報ですよ! 私も現場に行く権利があります! 冒険者としてでもいいですから!」
「行くのをとめている訳ではありません。安全になったら、連れて行くと言ってるのです」
それじゃ、アンデッド退治が見れないじゃないかっ!
「大丈夫ですよ! みんな強いですし! 私、邪魔しませんから!ヒース、守ってくれるよね?」
ティティはヒースを縋るように見る。
ヒースが口を開く前に、ルミエールが畳み込む。
「ダメです」
「行きたいです! 行きたい! 行きたい! すぐ行きたい!」
「許可できません」
ルミエールとティティがにらみ合う。
こうなったら、最後の手段だ!
「何か不測の事態が起きた時に、私がいれば、何とかなるかもしれませんよ!」
暗に国守さまがみてくれてるよ、アピールをしてみる。
うそである。今回はここにいる間はまるっと課題だろうから、手は貸してくれないだろう。
しかし、それを知ってるのはティティだけだ。
<お主、いい性格してるな>
スヴァが足元から突っ込む。
<私はやりたいことみたいことは我慢しない主義なのさ。スヴァだって興味あるだろ?>
<うむ>
しばしの沈黙後、折れたのは、ルミエールだった。
「わかりました。しっかり私たちのいう事を聞いてください。それが条件です」
「やったあ! もちろん、いう事ちゃんと聞きます!」
そんなティティを、怪しいと言った視線を向けて来るルミエール。
ルミエールの許可に驚いたのは、ブライトだ。
「ええっ! ティティちゃんを討伐に連れて行くのですか? それにルミエールさまも同行するのですか?!」
「視察の間、ティティの保護者は私ですからね。当然です」
いつの間に保護者になったのか。
確かにライアンに会って、視察も無事終えた時点で、ルミエールたちとはお別れ予定にはなっているけど。それまではルミエールが保護者なのか。知らなかった。
「ええ~。それじゃ、討伐隊の編成、組みなおさなきゃならないですよ~。領主さまにも相談が必要になりますし。ルミエールさまは城に残ってもらえませんか」
「できない相談ですね」
「ぐっ、わかりました。ではそのように対応させてもらいます。まだ討伐隊が組まれるかは決まってないですけどねっ」
すまんな、ブライト。
ゴーストが見つからなかったら、安全な薬草採取だけになるから。その確率の方が高いんでしょ?
そうなるようにお祈りするのも一つだよ?
私は違うほうにお祈るするけどねっ。
実はルミエール、自分も行きたかったんじゃないのか。
私のわがままに渡りに船だったのでは、ちょっと疑っちゃうぞ。
<それはないだろう。指揮官は自分の欲よりも隊の秩序を優先する>
スヴァ、冷静な突っ込みいらないよ。
しかし、ブライトの一人称私、僕、俺、どれが正解なのかな?
いや、正解も何もないけどもっ。
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