第239話 ひらめいたっ!!
子供の遊び道具か。
そこまで頭が回んなかったな。
うーむ。
遊びと一緒に、楽しくお勉強! なんてできたらいいよなあ。
よし!
ティティは抱っこしていた子供を下ろすと、鞄からごそごそと紙と筆とインクを取り出して、床に紙を広げて、紙いっぱいに大きな顔を描き始めた。
「さて、誰だろうねえ」
そう言いつつ、ゆっくりと描いていく。
すると、そこにいた7人くらいのおチビたちが興味深々でティティの周りに寄ってくる。
似顔絵には自信ありだ。
「いいんちょ!」
「ちょ!」
「ちょ!」
子供たちはすぐにわかったらしい。
きゃっきゃっと喜んでいる。
「あたりだ!すごいぞ!」
さて、これだけじゃ終わらないぞ。
第2段階、と、その前におさげの女の子の名前を聞く。
「えっと、なんて名前かな?」
「マリです」
ティティの小奇麗な格好でお客さんと気づいたのか、丁寧な言葉遣いになってる。
全然いいのになあ。
「そう、ではマリさん、今からナイフを使うので、子供たちを注意して見て置いてください」
「わかりました」
「それと何かナイフを受ける板ないかな」
「ちょっとまってください」
そうしてマリは近くの棚から、傷がたくさんついた板を差し出した。
「こちらでいいですか? 木工する子が使ってる奴ですけど」
「うん、大丈夫です」
おー、上等上等。
「じゃあ、みんな、今からナイフを使うから、絶対手を出さないでね、イタイイタイになっちゃうからね」
そう言いつつ、ティティは鞄からナイフを取り出す。
「「「「「「「うん!」」」」」」」
子供たちは素直に頷いてるが、嬉しくなったりすると忘れて手を出してくるから、注意が必要である。
「マルティナさんもおチビたちを見ていてね」
「かしこまりました」
さっきからこの子、それしか言わないなあ。緊張してるのかな。
ブリアさんは護衛なので、一歩ひいてこちらを見てる。
この部屋で護衛っている?
こちらに混ざればいいのに。
<そういう訳にも行かぬだろう。役目だからな>
そう心話で話すスヴァもブリアの横にいる。
そして近寄るなオーラを出している。
スヴァ、子供嫌い?
<いや、ただこの姿だと、もみくちゃにされそうだからな>
なるほど、了解です。
さて、やりますか。
ティティはナイフを握り直し、先程描いた院長先生の絵を切り始めた。
「「「「「「「ああ~!!」」」」」」」
おチビたちが悲鳴を上げる。
涙目の子もいる。
それに構わず、ティティは目、鼻、口、眉と切り取ってしまった。
残ったのは、顔の輪郭だけ。
「うん。綺麗に切れとれたな」
そして切り取ったパーツの後ろに、単語を書き込む。
そうしてもう一枚紙を取り出して、顔の輪郭が描いてある紙の下に重ねて置く。
「さあ、それじゃあ、遊ぼうかなあ」
おチビたちが、首を傾げて、きょとりとする。
可愛い。可愛いなあ!おい!
おちびたちは無条件にかわいい。




