第236話 まずは一安心。
短めです。
「ようこそお越しくださいました」
そう言って、頭を下げるのは、孤児院の院長だ。
今日来たのは、コンブレハム孤児院。教会と併設されている孤児院である。
ちらりと聞いたところによると、今は70名ほどの子供がいるらしい。
結構多いな。
ともあれ、第一の心配はクリアである。
「ふう。よかった」
安堵ともに、ぼそりと声が漏れた。
「どうかした?」
ブリアがティティの呟きを拾い、尋ねる。
「あはは。なんでもありませんよ?」
余計なことは言わないよ。波風立ったらやだからね。
「どうぞ中へお入りください」
院長に導かれて、孤児院の中へと入る。
進んだ廊下の先、いくつかの小さい頭がぽこぽこと並んでいる。
はは。これはどこでも同じ光景だ。
あれで隠れているつもりなんだよなあ。おチビたちは。
お客さんなんて、珍しいし、おチビたちは基本かまってちゃんが多いからなあ。
甘えられる客か見定めてるんだろう。
ルミエールやヒースを見て、少しがっかりしてる。
まあ、ルミエール綺麗だけど、隙がないからなあ。ヒースは黙ってると少しとっつきにくいかもしれない。話さないと、だけどね。
ティティはヒースの横からひょこりと顔をだして、軽く手を振ってみる。
おおっ!チビたちの目が輝いた。
うん。どうやら、皆元気のようだ。いいね。
「ブリアはティティについてください。ティティお好きに、孤児院の中を自由に見て回ってください。私は院長と少し話をしてきますから」
「わかりました」
どうやら、ブリアは私担当、ヒースはルミエール担当らしい。護衛の2人は外で待ちである。
護衛の2人には退屈だろうから後で、鬼ごっこにでも付き合ってもらおう。ふふ。
おチビたちのパワーをとくと味わうがいいよ!
「それでは私が女性のお2人をご案内します」
そう言って、院長の後ろから一歩前に出て来たのは、ティティよりも大分大きい。
とは言っても12,3歳くらいだろうか。
茶色い髪のおかっぱ頭の女の子だ。
「マルティナです。院内をご案内します」
うん。しっかり者の姉ちゃんって感じだね。
こちらも挨拶挨拶っと。
「初めまして、ティティルナです。どうぞティティと呼んでください。足元にいるのは、私の相棒のスヴァです」
今日は視察団のおまめの立ち位置だから、少ししとやか目に挨拶したよっ。
ブリアは挨拶しないのかな?
あ、一歩下がってる自分は護衛ってか。
むむ。私がメインなの?聞いてないよ!
しかしここでごねても仕方ない。
もう、最初に言ってくれてもいいのに。
気を取り直し、頭を軽く下げる。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願い致します。まず建物内をみますか?」
「いえ、まずは、教会に行ってもいいですか?」
「はい、もちろんです。こちらへ」
「行きましょう、ブリアさん」
教会の隣まで来て、祈らないなんて国守さまに怒られちゃうからね。
まずはお祈りしないと。
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