第227話 ぽこぽこ歩いて、ブリストンの冒険者ギルドへ行こう
「ブライトさん、街を案内してくれるかと、ちらっと思った」
シスピリア城を出ながら、ティティは呟いた。
「おお! 小さなレディ! 彼を責めてはいけないよ。彼は視察団の案内役だけど、ルミエール様の護衛も兼ねてるからね。言い出せなかったんだよ。きっと彼もこちらについてきたかったに違いないよ」
ヒースが大げさなアクションをしつつ、説明してくれる。
「そっか。ルミエール様はブルコワ様のご子息様で、視察団のなかで一番偉い人だもんね。納得だね」
ルミエールがいないから、ヒースとも少し気軽に話せる。
うん。やっぱ、敬語は肩が凝るよね。
<そうだったのか? それほど言葉を改めていたとは思わなかったが>
スヴァ、うるさいよ。
「ふふ。ティティも十分、重要人物ではあるんだけどね、彼は知らないから」
ははは。ブリア、なんのことかな。
私は知らないぞっと。
それより冒険者ギルドだ。ギルド。お金を作んなくちゃね。
「ヒースはこの街の冒険者ギルドの場所は知ってる?」
多分7年前と場所は変わってないと思うけどね。知ってる人がいるといいよね。
「まかせてくれたまえ! この街には何度か来てるからね!」
「そして城を抜け出して、街へと遊びに繰り出しているから、よーく知ってるはずよ」
ブリアがヒースを睨む。
ヒースはどこまでもヒースだった。
うん。私、ヒースの性格大好きだよ。
城から貴族街を抜けて、平民の住む地域へ。
冒険者ギルドは平民が住む地域にある。
なぜ冒険者ギルドが平民が住むエリアにあるかって?
それは冒険者になるのは平民以下が多いからだよねっ。
その冒険者ギルドのあるエリアに行くのに、歩いて行くとそれなりに時間がかかった。
かといって馬車で乗り付けるなどしない。
平民は基本歩きである。
馬車を使うなんて、目立ってしまう。
へんに目を付けれらたら、いやだ。
ただでさえ、魔法士然とした2人がいるのだから。
ヒースとブリアはマントを着ているし、平民寄りの服装に着替えてくれたのだが、どうみても貫禄があるので、一般平民には見えないのである。
そんな2人を連れたティティは何様だよって感じだけど、1人では行動させてくれないのだから、仕方ない。
2人の、というか、東の領ではティティは恩人扱いになってるからである。
いいような、悪いような。西の領地まで無事に辿りつけたのはよい部分だが、気軽に一人で出歩けないのは、少し窮屈である。
<よいのではないか? お主も目覚めてたいして時間が経っていないのだから、現に慣れるまで危険を遠ざけてくれると思っておけばよい>
なるほど。そうだな!
スヴァ、ポジティブ。
「さあ、ここだよ、小さなレディ! いざいかん!」
つらつら考えつつ、ぽこぽこ歩いているうちに冒険者ギルドに到着だ。
にしても、ヒース午後も絶好調。視察の時より元気である。
示されて、見上げた先には、堅牢な石造りの建物。
大型魔物がどーんと体当たりしてもびくともしなさそうだ。
やっぱ、冒険者ギルドって頑丈じゃないとだめなんかな?
そういった規定がありそうだ
でも、形は別に決まってないのかな? ゴルデバにあった冒険者ギルドの建物と違うし。
それになんか面白い形をしてるな。縦はわかるが横にも長い。
街中にあって結構な幅を利かせてる。
不思議だが、それでも優美って感じがする。
ヘクタさまの趣味か?
「さあ、入りましょう」
うし! 目立たず、地味に行くぞ!
なっなかなか話が進まないです( ̄▽ ̄;)




