第225話 行っていいの? やたっ!
「今日の予定はこれで終了です」
1時間弱、騎士さんに揉んでもらった後、休憩も兼ねて、騎士や魔法士の訓練を見学した。
時間は短かったけれど、なかなか濃い一日だったと思う。
騎士の訓練に参加できたのは、特に嬉しかった。
少しは強くなれたかもしれない。
今度魔物と戦う時に、実践できればよいと思う。
それにしても一日目とはいえ、随分と早くに切り上げるなあ。
「もう一か所ぐらい、見れると思うけどもう終わりなの?」
ブリアにこそっと尋ねる。
おやつを食べるくらいの時間帯だよ?
「視察初日ですからね」
小声で尋ねた声をルミエールは、聞き逃さない。
うわ。地獄耳か。
でもそっか。初日からみっちり視察じゃ、大変だもんね。
「それに貴女はどこか行きたいところがあるのでは?」
「行きたいところ、ですか?」
ん~?
街のお菓子屋さん?
そこでブリアが助け舟を出すように口を開いた。
「はい、昨日ティティが冒険者ギルドに行きたいと言っていたので、この時間を利用して行ってきます」
あ! そうだった!
すっかり忘れてたよ! ブリアありがとう!
「冒険者ギルドですか?」
ブライトが尋ねる。
「はい。ティティは冒険者なので、素材を売りに行きたいみたいです」
「あ、素材なら、うちで買い取ってもいいですよ」
「私もそう提案したのですが、ランク上げるのに、冒険者ギルドを通したいみたいです」
「なるほど、そうですね。冒険者はそう言ったのがありましたね。了解です」
ティティの持ってる素材に興味があったのではなく、たんに親切から申し出てくれたみたいだ。
ありがとね、ブライト。
アーリデアルドの森でとれた素材と知っていたら、もう少し粘られたかもしれない。
ここは黙っておくのが吉だ。
「冒険者ギルドでの用事が終わったら、軽く街を見て、もしよいお店があれば、夕食も街でとりたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
ブリアがルミエールに許可を求めてくれる。
ルミエールがこのブリアの提案を許してくれるかな?
ゆるしてくれるといいな。許してくれるのよね?
さっきの口ぶりだと、予め私が冒険者ギルドに行きたいの知ってたみたいだし。
期待を込めて、ルミエールを見る。
「よろしいですよ」
「ありがとうございます!」
やったあああ!
これで街も見れる。さっさと冒険者ギルドで素材を売って、街で美味しいもの食べるぞ!!
「私も同行してよろしいでしょうか? 護衛は2人いたほうがよいと思いますので」
黙って聞いていたヒースがずいっと前へ出てきた。
あ~。言ってることは筋が通っているかもだけど、これは早くも息抜きがしたいっと目が言っているぞ。マジな顔してもダメだ。私にはわかる。
「いいでしょう。後で報告を」
「はっ! 了解しました」
あ、ヒース嬉しそう。うんうん。堅苦しいより、街でご飯食べたほうがいいよね。わかるよ。
さあ、それではいざいかん!街へ!
「ああ、別れる前に聞いておきたいことがあります」
ルミエールが早速街へと向かおうとしたティティを呼び止める。
なんだよ! 私は早く街に行きたいのよ。あとじゃだめ?
きりが良かったのでここで一区切り。今日はもう一話投稿します。




