第214話 はっ!うっかり!
ティティが背中につっといやな汗が伝った。
ティティ一瞬が数刻にも感じた。
やがて、パズールが頷いた。
「わかりました。ティティ殿は客人として扱いましょう。必要なだけ、この城に滞在して欲しい」
「ほえ!?」
驚きに変な声がでてしまった。
ブルコワ様!
手紙に私のことなんて書いたの?!
確かに紹介状書いてくれるって言ったけど。
そしてその紹介状は、ルミエールが保管して見せてくれなかったけど。
やっぱり確認しておくべきだったのか?!
ティティが国守さまの知り合いであるということは秘密にしてほしいと頼んだよね!?
ばらしてないよね!?
なら、なんで、この西の辺境でいっちゃん偉い人が、平民の幼女にそんなこというの!?
「あ、あ、あの! 大変ありがたいお言葉ですが、平民の私がこんな立派なところに滞在するなど、おそれおおいことでございます! よろしければ、街の宿屋に滞在したく思いますっ!」
ルミエールに怒られようと構うもんか!
一刻も早くここを逃げ出したい!
「しかしそれでは貴女の安全が保てない」
貴女?! 貴女って、いったい!?
私お貴族さまじゃないよっ!?
本当親書には私の事なんて書いてあったの!?
見せて欲しい! 切実に!
とても偉い人に見せられたもんではない表情をティティは浮かべつつ、先程の比ではない汗をだらだらと流す。
ルミエールもティティの焦り具合を気の毒に思ってくれたのか、助け舟を出す。
「パズールさま、戯れはその辺でおやめください」
「はは。すまぬな。あまりに可愛らしいから、ついな」
つい? ついってなに?
わからん、からかわれたのか?
なら、お城に泊まらなくてもいいの?
頭が混乱してどうしていいかわかんないよっ。誰か助けてくれ!
「ティティも。予め言っておいたでしょう。私たちと一緒に城に滞在することは決定事項だと。それにそんなに神経質にならなくていいですよ。書状にはこの地に滞在する間は、危険がないように私たちと一緒に滞在できるように書いてあるだけですから。それに部屋もブリアと同室にしてもらうから、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
「本当ですか?」
「ええ。パズールさまは少しからかって大げさな言い回しをしただけです」
「そ、そうですか」
少し肩の力が抜けた。
まあ、今のティティは確かに7歳で、小さいから一人で宿に泊まらせるのは心配なのかもしれない。それに城に泊まるにしても1人部屋じゃなくてブリアが一緒ならまずい事をやったらフォローもしてくれるだろうし安心かな?
「私たちと一緒に滞在するという事でよいですね?」
「はい」
パズールとルミエールが満足そうに頷いた。
はっ。いつの間にか城に泊まるって言っちゃったよ!
絶対街の宿にと思ってたのに!
言質とられた!
<だから油断するなと言っただろう>
やれやれというようにスヴァが首を振る。
だって。だってえ!
くそう。せめて親書になんて書いてあったか教えてよっ!
ティティはまだお子様ですから、お城でお泊りです。
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