第208話 魔王様って?魔素って?
まあ格好つけて説明したけども、魔王が復活するのは当たり前だよね。
魔王はこの世界の自浄作用的役割を担っているんだから。
魔王が復活しないと、大気中に魔素、呪素が溢れ過ぎてしまい、大変なことになる。
魔王や魔族、末端は魔物も入るが、彼らは増えすぎた魔素を体内に取り込み死ぬことによって大気を浄化する為に生まれた存在なのである。
特に、呪素は魔王にしか取り込むことが出来ない為、魔王の役割は大きい。
はい。こんにちは。お久しぶりのティティです。
もう少し詳しくこの世界の事を説明しようかね。
そうだなあ。
魔素や呪素について補足説明しようかな。
魔素は邪気が自然の気を取り込み活性化したもの。元は人間から出た悪意なのだから、よいものではない。呪素は邪気の更に上を行く怨念、怨恨、呪詛、怨嗟が自然の気を取り込み活性化したものである。どちらも毒のようなものであるが、魔素は魔法のエネルギーとして転化できるが、代わりに肉体が劣化する。つまりは魔法士の短命を引き起こすのである。呪素は更に質が悪い。まったく利用ができない、有害なものである。
人間て怖いよね。大気を汚染する物質を作っちゃうんだから。そして自分たちの首を絞めていると。
それでも天上のお方は、人間を見捨てない。
人間を生かす為に作られたのが、魔物、魔族、そして魔王なのである。
長々と説明してきたが、つまりは7年前に魔王が討伐された今、大気中の魔素や呪素はかなり減っているのである。
ちなみに魔王が討伐される時に、魔族もかなり殉死するらしいので、魔素も減少するのだ。
もう一つ説明を付け加えるならば、魔王が復活、そして狂化したかなぜわかるのかというと御使い様からの信託が下るからである。
人間たちよ、少しは自分たちの不始末を付けろってやつだね。
けど、この事実を人間たちは知らないのだ。
なぜなら、魔王、魔族は人間たちにそれを話す事を禁じられているから。
少し横道にそれてしまったが、今は魔王が7年前に討伐されたばかりで、平和な期間に突入している為、マクベス砦は厳重警戒ではなく、軽度の警戒レベルに引き下げられている。
ちなみに魔王は魔素、呪素の取り込む容量が大きい為、500年は平和な時代が続くとみてよいらしい。スヴァの談である。
それでも、砦には騎士の常駐が必要な訳で。その騎士を維持する為には、資金が多大に必要になる。
国から補助金は出ているものの、それでも自己の領土の運営費用は自己で賄わなければならない。
しかし、領民から徴収した税金で賄え切れるものではない。
ではどうしているかといえば、騎士たちは領土防衛という名目のもとに、魔王領に出て、魔物を狩って、それの代金で自らの食い扶持を稼いでいるのである。
マクベス砦から魔王領に続く広大な森に入って行くと、人界と魔界の目に見えない境界がある。
それは体験したものにしかわからない。
その境界を越えた途端、空気ががらりとかわるらしいのだ。
これをきいた時、そんな空気変わったかなと、首を傾げたのは内緒である。
ともあれ、その完全な魔王領、魔界という土地よりやや手前の土地では、危険ではあるものの珍しい素材となる魔物や薬草が豊富にとれる。
それを刈り取り騎士団の運営資金に充ててるのだ。
なんか何とも皮肉な話だなあと思ったものである。
魔王や魔族の役割や魔素、呪素はスヴァから教わった部分であるが、その他西の辺境領がどういったところかや、マクベス砦の維持運営について語ってくれたのは、なんとルミエールである。
西の辺境領へと向かう馬上で、教えてくれたのだ。
これから訪れる領の基礎知識として必要だと思ったのかもしれない。
こんな詳しく西の領地の内情を教えてもらっていいのかと思ったが、かりにも視察団のメンバーなのだから、この程度の知識は必要だとのたまった。
ということは、この程度の話は、知られている話なのだろうと納得する。
納得するが、7歳の私に必要か?と言われると、首を振りたい。
魔王領手前にいくら素材が豊富な地帯があるとしても、ティティごときがそこに足を踏み入れたら、すぐにぷちりとされるのがわかり切っている。
聞いてもまったく利用価値がない知識である。
もっと、城下町での美味しい店ランキングなどの情報のほうがいいのになあと思ったのは、内緒だ。
スヴァはルミエールの話をそれは熱心に聞いていた。
後で聞いてみたら、人間側からの視点での話はとても興味深いとのことだ。
真面目な研究者め。
そのうち論文でも書き出すのではないかと思う。
絶対私の名前では発表しないからなっ。自分の名前でだせよっ。
それもそれで困るか。
まだ説明回でした。
すいません。
明日こそはティティが元気よく動いてくれる筈です!
多分。おそらく!
そしてそして、いつもお読みいただき、ありがとうございますv
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